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欲望の化身  作者: 鳥串砂肝
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プロローグ  光の柱

初めまして、鳥串砂肝と言います、以前から異能バトル物を書きたいと考えており、今回、思い切って投稿させて頂きました。


誤字脱字が多く、また、解りづらい説明や表現もあると思いますが、

どうぞよろしくお願いいたします。

プロローグ  光の柱



某年、S湾では烏賊釣り漁が最盛期を迎えていた、S湾を望む海沿いにある町、そこに私は産まれた。


子供の頃から活発で、よく走り、よく壊し、よく叱られた。


海沿い故に広大な海もあり、町の裏手には、横に延びた背の低い山が聳えている。


私のお気に入りの場所は、2ヶ所、1つは、裏山の頂上にある展望台、S湾が一望できる、照る太陽光の影響か、遠くを眺めると、沖合いには漁船が細々と散り散りにボヤけて見える。


沖合いを眺めるのも良いが、やはりそこから見る場所は、自分達が住む町並みに限る、青い海と青い空が大きすぎて、自分達の生活する世界が、如何に小さいかを思い知らされるからだ。


自分が、人類が、他の命が、何れだけ非力で小さくちっぽけなモノなのかを、認識させてくれる、まるで我々生物は、光の粒子一粒一粒の様だ。


小さいから人は他人の小ささを受け入れられる、母親が生前よく口にしていた言葉らしい。


私には母親の記憶がない、私を産むと直ぐに病気で他界したらしい。


父親は漁師で、昔の人間を絵にしたような、寡黙で、無骨さと無愛想さを両立させた様な男だった。


だが、そんな父親でも1人娘の私には愛情を注いでくれた、母親の記憶のない私だが、寂しいと感じた事は1度もなかった。


仕事も家事も、男手1つで不器用なりに行い、育ててくれたのが良く解る、私はそんな父が大好きだったからだ。


その日は珍しく、父親が自分の漁船に乗せて沖合いまで連れて行ってくれた。


父親は無愛想なりに確かに優しかったが、遊びには連れて行ってはくれないし、海に出してもくれない、1度で良いから私は海に出て父親の仕事振りを見ておきたかったのだ。


真っ青な海、真っ青な空、巨大な入道雲、照りつける日差し、心地好い潮風。


ミャーオ・・ミャーオ・・。


今日もウミネコが元気に泣いてる、出港前の岸壁から、真っ青なS湾沖を望む、私の一番のお気に入りの場所である。


今までは海に出られなかったから、この場所で沖合いからの景色を想像するしかなかったが、今日は運が良い、父親がどういう心づもりかは知らないが、沖まで連れて行ってくれるのだ。


船に乗ると、見知った顔が3つ、1つは父親、もう2つは幼なじみの源次郎君と、父親の知典オジサンだ。


3人はせっせと出港の準備を続けていた。


うちは先月解禁した烏賊漁と、日中に行う延縄漁をしている。


普段はマズメ時に行っているが、今日に限っては私の為か、日が昇り切ったこの時間帯だ。


源次郎君が私に気付き、近づいてきた。


「よお、瑞穂、元気か?。」


源次郎君は、日に焼けた健康的な顔で、私に笑顔で話しかけてきた。


その無邪気な笑顔を見ると、少し照れくさい、私も、うん、と悟られない様に自然に返した。


源次郎君は作業をほっぽりだし、先日の学校での話題を振ってきた、どうやら、嫌々手伝わされており、逃げる口実が欲しかった様だ。


源次郎君と私は船を1度降り、辺りを散策すると、大人達に言い残し、走った。


正確には腕を引かれて走らされた。


私も、脚には自信があったが、源次郎君は兎に角運動能力が高かった、勉強は余り得意ではないが、幼い時から良く裏山で一緒に遊んでいたから解る、まるで山猿の様な動きをし、とてつもなく身軽で速かったのだ。


源次郎君に、抜けだしてよいのか尋ねると楽しそうに、大丈夫だ、と言い、白い歯を見せた、私は直視出来ずにいた。


何気ない話をしながら町を徘徊していると、私達より少し幼い少年が、恰幅の良い初老のおじさんに腕を引かれ歩いている。


「清!じいさんも、こんにちは。」


近所に住む清君とお爺さんが笑顔で挨拶を返してくれた、私も、こんにちは、といい、挨拶を返した。


どうやら清君は、お爺さんと釣りをしに行く所だったらしい、源次郎君は、釣りなら、これから自分達の両親が船を出すから沖合いに出ないか?と誘った。


清君がお爺さんにせがみ、頼み込むと、お爺さんは、仕方がない、といった顔で私達に着いて来た。


漁船を停泊している岸壁に着くと、父と知典さんはカンカンだった、何処をほっつき歩いてたんだと、そこへ清君のお爺さんが事情を話し、嘘を交え、私達を庇う様に説明し、孫の清君も同乗させて貰えないか説得した。


清君のお爺さんも元漁師で、父や知典さんとは顔見知り、2人はお爺さんに、色々と良くして貰っていたので、心良く了解した。


清君は9歳で、私達より5歳以上、年下だが、挨拶も出来て素直な良い子だ、私や源次郎君に良く懐いてくれている、弟みたいな存在だ。


清君のお爺さんは腰痛持ちで、船旅は遠慮するとの事、私達5人だけで出港した。


沖合いまでは10分位だったと思う、生まれて初めて乗った漁船は、もの凄く速く、乱暴に感じた。


波はとても静かで、乱暴だけどスムーズに水上を走っている。


私も清君も、初めて見る、一面真っ青な波打つ世界に歓声をあげた、源次郎君はどうやら、以前から知典さんの手伝いで同乗しているらしい、源次郎君は将来、知典さんの後を継いで漁師になるのだという。


私も源次郎君に、将来どうしたいか聞かれた、正直、非常に青臭いが、源次郎君と一緒になりたい、等と言おうとも考えたが、私は以前からなりたいと思っていた仕事を口にした。


「私は・・お医者さんになりたいな。」


源次郎君は納得した様子で、そうか、と、青空の入道雲を見上げて言った。


暫くすると沖合いに停留し、父と知典さんは用意した仕掛けを私と、ついでに清君にも説明して見せてくれると言う。


普段の仕事でする漁ではなく、私が以前から父の仕事に関心を持っている事を知って、今回は規模を縮小して、実際に説明してくれるというのだ。


仕掛けを2人が説明しようとした、その瞬間。


ドン!!


私達は恐怖した。


突然辺りが真っ暗になり、漁船があり得ない位に揺れ、私達の身体は宙に浮いたのだ、私は必死で恐怖を抑え、近くにいた泣き叫ぶ清君を抱き締め、目を閉じ只只震えた。


「「瑞穂!!。」」


父と源次郎君の声が重なる、私は恐怖を振り払い、目を開けた、・・ほんの一瞬、3人の姿が見えた、見えたが、その数瞬後、頭上から真っ白な光が降り注ぎ、私の視界は真っ白く遠退いていったのだ。


次回は本編スタートです、引き続きよろしくお願いいたします。

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