ギャルっ娘真奈美のバイト記録
やっほー、うちの名前は真奈美。
今はバイトの時間だけど、まじ長すぎて時の流れがトロロなんだよね。
しかも真夏で超暑いし......。
「金沢さん、ぼーっとしてる時間があったら仕込み手伝ってね。」
考え事をしながらボーッとしていると、先輩に仕込みを手伝ってって言われたからうちは先輩の近くに行った。
したら先輩はずっと肉とにらめっこ、片手には鋏を持っててまじシリアルキラーかと思った!
「はさみでチョキチョキするんですか? 」
「ちょきちょきって......ほら、ここに筋とか骨とかあるでしょ?
それを取り除いていってほしいんだよね。」
そういって先輩はボウル一杯のその肉をうちに渡してきた。
「嘘でしょ?
暇だけどこれはやりたくないし.....」
顔を引きつらせたら、先輩がうちの前にジュースを置いた。
「仕方ないなぁ~、いっぱいジュース買ってあげるから頑張ってよ。」
「はいっ! 」
飲み物の欲には勝てないから、うちは頑張ってボウルいっぱいの肉とにらめっこを始めた。
少し時間がかかったけど、何とか肉とのにらめっこを終わらせたうちは、入ってきた注文を見てやる気をなくした。
「どれも時間かかるやつだし~、まじなぇ~......」
「ほら金沢さん、文句言ってる時間ないよ! 」
「仕方ないですねぇ~......」
下げテンションのままうちは簡単なオーダーをこなしていく。
幸い作るのが難しい料理は先輩がやってくれてるから、うちはフライヤーに入れるだけのから揚げとか、皿に盛り付けるだけのサラダなんかを作ってた。
先輩は文句も言わずとんでもスピードで料理を作って、あっという間に今のオーダー全部を終わらせた。
「さすが先輩っ!
うちにどうやってそんなに早く料理を作るか教えて下さいよ~。」
「真奈美ちゃんに教えてもねぇ~、寝て起きたら忘れてそうだし~......。」
ムカッときたけどこの言葉に間違いはなし!
優にいろいろ教わってもその情報が多すぎるとうちはいつも忘れちゃうから優もひとつひとつおしえてくれる。
「それでも、真奈美ちゃんのその文句を言いながら真剣に仕事してくれるのはいいところだね。
愛嬌もあるし、キッチンよりホールのほうが輝けると思うんだ。」
ニコニコしながら先輩がうちに言ってくれた。
「え~......、でも先輩と離せなくなるのきついです~。」
「大丈夫だよ、べつにお店が変わるわけでもないんだから。」
「そうですけどぉ~......。明日からホールにしてもらえるんですかねっ! 」
うちが先輩に問いかけると、腕を組んで「掛け合ってみる」と言った。
「今よりもっと楽しそうに働いてる真奈美ちゃんを見るの、すっごく楽しみだなぁ。」
遠くを見ながら、独り言みたいにつぶやいてる先輩を見て、うちも思わずにやけちゃった。
バイトの時間も終わり、うちは先輩に挨拶をしてお店を出た。
お店を出ると優がうちのことを待っていて、電柱にもたれかかって本を読んでた。
「おまたせ、暑いのにこんなところで待ってて大変だね。」
「全然いいのよ、ずっとお店にいて迷惑をかけたくないもの。」
優は読んでた本にしおりを挟んで、うちの近くに来た。
そのときのいい匂いが頭に染み込んで、ドキッと来た。
「ほんといい子!
帰ろ、優っ! 」
うちは優に手を差し伸べる。
優はその手を繋いで歩き始めた。