Lightning in the disappointment
体が焼き切れそうなほど熱い。
腹部からから煌々と光る炎と、金属の焼ける音とにおいが頭の中を反響する。
体はまるで釘で打ちつけられたかのように止まって動かない。
力を入れたくても、回路が焼けてうまく制御できない。
まるで叫び声のように耳に残る高音を響かせて尾翼が吹き飛んだ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
エンジンが脱落した。心臓をもぎ取られる感覚。
先ほどまで私の血潮であった燃料はいま、すべて業火となって消え去った。
意識が遠のいていく気がする。
落下速度を上げてこの星の重力と大気を感じる。
ただ、それ以外に何も感じない。センサーの類はすべて機能していない。目が見えない状態と何ら変わりはない。
真っ暗闇の中、私は一人空を落ちる。
私を動かす主はもういない。
私を愛機だと言った彼は私を捨てたのか。
この空に。
自由も、救いもない空に。
恨んでも仕方がないと変な笑いが出てくる。
いつか起こりうることだ。それが今だっただけだ。
いまさら嘆いても、自分にはどうすることもできず、ただ最期を待つだけだった。
あらかた部品の消えた体はいやに軽く、もぬけの殻というか、魂の抜けた肉体というかそんなものが思い浮かんだ。
刹那、全身への衝撃とともにとてつもなく冷たい何かに包まれた。
鉄が急激に冷やされて泣きたくなるようなひどい音が出る。
海だ。私はついに海に落ちた。
上空6000mからはるばる落ちてきたのだ。
エアインテークから機体内に海水が徐々に侵入してくる。
海に足かせやなんやらを付けられて沈められた人の感覚だ。身動きできないまま水の流入を感じて死を待つ状態。
この世界に戦闘機として生を受けて数年。
きつい訓練を数々こなしてきた。
それとともにこの空を数えきれないほど飛んだ。
もう、飛べない。
飛行機の存在意義は飛ぶことにある。飛ばない機体は置物と何ら変わりはない。
精一杯仕事を全うして余生を過ごしている先輩らは違うが。
体が沈んでいく
私はまだ飛べたはずだ。この空を飛べたはずだ。
もっと飛びたかった。こんな最期で満足できるわけがない。
水圧で機体がゆがむ。
いやだ。
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ
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私はこの空で散った




