表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
F-35Bと異世界戦争  作者: 朝霞 志雄
1/1

Lightning in the disappointment

 体が焼き切れそうなほど熱い。

 腹部からから煌々と光る炎と、金属の焼ける音とにおいが頭の中を反響する。


 体はまるで釘で打ちつけられたかのように止まって動かない。

 力を入れたくても、回路が焼けてうまく制御できない。


 まるで叫び声のように耳に残る高音を響かせて尾翼が吹き飛んだ。


 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い


 エンジンが脱落した。心臓をもぎ取られる感覚。



 先ほどまで私の血潮であった燃料はいま、すべて業火となって消え去った。

 意識が遠のいていく気がする。



 落下速度を上げてこの星の重力と大気を感じる。

 ただ、それ以外に何も感じない。センサーの類はすべて機能していない。目が見えない状態と何ら変わりはない。

 真っ暗闇の中、私は一人空を落ちる。


 私を動かす主はもういない。

 私を愛機だと言った彼は私を捨てたのか。

 この空に。

 自由も、救いもない空に。

 


 恨んでも仕方がないと変な笑いが出てくる。

 いつか起こりうることだ。それが今だっただけだ。


 いまさら嘆いても、自分にはどうすることもできず、ただ最期を待つだけだった。


 あらかた部品の消えた体はいやに軽く、もぬけの殻というか、魂の抜けた肉体というかそんなものが思い浮かんだ。


 刹那、全身への衝撃とともにとてつもなく冷たい何かに包まれた。

 鉄が急激に冷やされて泣きたくなるようなひどい音が出る。


 海だ。私はついに海に落ちた。

 上空6000mからはるばる落ちてきたのだ。

 


 エアインテークから機体内に海水が徐々に侵入してくる。

 海に足かせやなんやらを付けられて沈められた人の感覚だ。身動きできないまま水の流入を感じて死を待つ状態。


 この世界に戦闘機として生を受けて数年。

 きつい訓練を数々こなしてきた。

 それとともにこの空を数えきれないほど飛んだ。

 

 もう、飛べない。

 飛行機の存在意義は飛ぶことにある。飛ばない機体は置物と何ら変わりはない。

 精一杯仕事を全うして余生を過ごしている先輩らは違うが。


 体が沈んでいく


 私はまだ飛べたはずだ。この空を飛べたはずだ。

 

 もっと飛びたかった。こんな最期で満足できるわけがない。


 水圧で機体がゆがむ。


 いやだ。


 いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ


 ―――――――――――――――――

 私はこの空で散った


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ