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子供には かくれんぼ をさせたくないって話 【ほんのり怖い話】

 

 かくれんぼ したことある人いる?

 だいたいの人は子供の頃やったことあるんじゃないかな。

 今時の子は違うのかもしれない、ゲームとかあるしさ。


 まぁ俺のちっちゃいころはゲームなんてあんま持ってる奴いなかったし、田舎だったこともあって、

 遊ぶ=外で遊びまわる って図式だった。


 女も男も特に関係なく、川遊びもしたし、追いかけっこもしたし、缶蹴りもした。(昭和感)

 今となってはよき思い出だよ。

 ケイドロ(ドロケイ?)とかも同数に分かれて、毎回なかなかの接戦だった思い出がある。

 でも、女の子も交じってたら、追いかけっことかケイドロってちょっとやりにくいんだよね。


「もう山中くん足速すぎ~」


 なんて言われてさ。

 まぁ山中って俺のことなんだけどね。俺足速かったんだ。ケイドロなんかは俺がいたチームが絶対に勝ってたし、缶蹴りでも俺が隠れてたら鬼の一人負け。超活躍してたしチヤホヤされた。今思えばモテ気だったな……まぁそんなことはいい。


 俺がいると勝敗わかっちゃうし、追いかけっこでも速攻タッチして鬼交代になってつまらんってことで、追いかけっことか、ケイドロとか、缶蹴りとかはいつの間にかやらなくなった。んで缶蹴りから、かけっこ要素を取り除いた かくれんぼ をよくするようになった。


 今思えばかくれんぼって何も面白くないよな。

 隠れてる側はじっとしとかなきゃいけないし、一人で隠れてたら本当につまんない。暇なはずだ。

 探してる奴がちょっと面白いくらいか?


 でもなんか知らんけど、なんか楽しかった。隠れてる方も、探す側も。

 子供って不思議。


 それで、何回かやった頃かなー

 かくれんぼの最中、公園に設置されてた倉庫の中でふと思った。


 俺のモテ度が減ってる……!? って。

 普通に考えたら、追いかけっこをやんなくなって活躍の場が減ったからって思うだろ?

 俺もそうかなーって思ったんだけど、なんか俺のこと「好き好き」って言ってくれてたのに、急に言われなくなった気がしたんだよ。親戚が旅行する時に預かって世話してた犬が、親戚が帰ってきて引き取られていった。みたいな。毎朝起こしに来てくれた可愛いジョンがもういない……みたいな。

 くっそ、好き好き言って期待させやがって、かけっこやらなくなった途端にこれかよ。手のひら返しがひどい。薄情女許すまじ。頼むからまた俺のこと好きって言ってくれ、俺も好き。って思って、ちょっと考えてみたわけ。


 ……誰にモテてたんだっけ?


 いや、まじで考えてもわからんくてさ。

 好き好きって言ってくれて、なんか気分がよかった。それだけはわかる。でも誰に言われて、俺が誰に対して「まぁ俺も好きだけどな(上から目線)」って思ってたのかはわからん。


 でも一人で考えててわからないからって友達に聞こうとは思わなかった。

 だって


「こないだまで俺のこと好きだった子って誰だっけ」


 なんて聞いたらナルシストすぎるし、イタい奴じゃん?

 何しろ覚えてない時点で、俺の勘違いな気がしてきたわけ。


 バレンタインの日にクラス中にチョコを配る女の子たちから、チョコをもらって舞い上がってたみたいに、好きって言われてた気がして、一人で盛り上がってたんだとしたら、すげぇ恥ずかしい。俺って勘違い野郎じゃん。誰にも言えんわ……


 って一人落ち込んでたらさ。突然


「みーつけた」


 そんな声が聴こえて、体がビクゥッって飛び上がった。

 倉庫の扉のすき間から、友達の目がこっち見てるんだもん、もうビビるビビる。

 飛び上がった拍子に壁に腕打ち付けちゃって、痛かったし、ちょっと涙目で倉庫から出た。

 そしたらいつも遊んでる友達八人が勢ぞろい。


「いやーまじでビビった。俺がラスト?」

「当たり前やろ。お前なかなか見つからんし倉庫の中とか反則やぞ」

「鍵なかったし入れたから反則ちがうしなー」


 なんて軽口叩き合った。

 一応かくれんぼにも全員でルール決めてあったんだよね。森の公園内限定。大人に匿われたらだめ。鍵のついてる建物禁止。みたいな。

 大人に協力してもらったら車の中とか隠れられるし、鍵がついてる建物は勝ち確定するから、そういうのは禁止にしてたわけ。


 だから今回の、鍵がかかってなくったって、倉庫の中で隠れて、最後まで見つからなかった俺は反則だって責められたわけ。そのことがあったからか、なんかもう、かくれんぼが嫌になったからか、その日から俺はかくれんぼには参加しなくなった。


 参加者が減ると遊びは面白くなくなっていくもので、かくれんぼは所詮小学生の遊びってこともあって、そのうち皆やらなくなっていった。


 懐かしい思い出だ。


 で、何でちっちゃい頃のかくれんぼのことを思い出してたかって言うと、この前偶然かくれんぼやったんだよ。

 言っとくけど、もちろん小学生みたいに鬼を決めて、みんな一斉に隠れて~とかじゃないからな。


 仕事先の人の結婚式があったんだ。

 その二次会が、若い連中が集まったから軽く合コンみたいな感じになっちゃったわけよ。酒のんでウェーイみたいな。大学生のノリか?ってくらい盛り上がってる奴とかいた。社会人ならもう少し落ち着け。

 帰りてーーっと思ってた時に、前からちょっといいなと思ってた仕事先の子に「みんなから隠れちゃおっか」って言われたんだよね。いやーめっちゃテンションあがった。もちろん脊髄反射で了承した。


「他にも帰っちゃいたい子たちいるからちょっと隠れてて」


 そう言われて、数人がちょっと柱の影とか扉の裏とかに隠れたわけよ。カーテンの裏に隠れたカップルはいちゃついてた。ちょっと我慢しろ、そういうのは家でやれ、家で。

 俺以外にも結構バックレたい連中はいたってわけだ。まぁ面倒な上司に捕まったら何言われるかわからんし、女の子とフケるの茶化されるの嫌なのはみんな一緒なんだよな。


 それで、しばらく隠れてたら


「みーつけた」


 かわいい声がして、隠れる気のあんまりなかった俺は速攻で発見された。

 そこそこの人数が途中で抜けることになるけど、新郎新婦あたりに話を通したみたいで、もう帰っちゃっていいみたいだった。


 隠れてた連中も出てきて、俺の気になってる子に礼を言って、それぞれが男女でちょっといい雰囲気を漂わせながら帰っていった。その中にウェーイしてた奴は入ってなかったので俺は内心でちょっと笑った。


 やっぱみんな上司に誰と一緒に帰るんだ、とか聞かれるの嫌だったんだなーじゃあ俺たちも帰りますか!って思ったとき、ぽつんと一人でいる女の人に気づいた。彼女はたしか、総務課の佐藤さんだ。


「あれ佐藤さんも帰るの?」

「え、いや……」


 声を掛けたら彼女は明らかに困惑してた。目は何かを探すようにきょろきょろと動き回っては、不安げに眉を寄せていた。

 けれど少ししたら気を取り直したみたいで、


「ひとりで帰るのもあれだし、もうちょっと居ようかな……」


 なんて、どこか腑に落ちない様子を漂わせつつも、佐藤さんはまた合コン会場と化している二次会の現場に戻っていった。


「山中くんもう行こっか」


 気になってた女の子に促される形で、俺もその場を後にしたけど、かくれんぼのあと困惑しているように何かを探す佐藤さんのことが気になって仕方がなかった。


 あそこにいた人たちは、みんないい感じの人を見つけて男女で二次会から抜け出そうとしてたはずなのだ。それなのに佐藤さんが一人でいたのはおかしくないだろうか……?


 いや、ノリのいい子なら何かみんな隠れてるから私も隠れちゃお! ってノっちゃうかもしれない。

 それで、かくれんぼが終わったと思ったら、実はカップル成立組が帰る前のちょっとしたやり取りでした~っとなったら困惑するのも当然か。

 俺だったら穴を掘って入りたくなるし、困惑もするし、お前ら(カップル)なんかと一緒にいられるか! 俺は部屋(合コン場所)に帰らせてもらう! となるかもしれない。


 でも妄想かもしれないけど、やっぱり思ってしまう。

 佐藤さんは実はいい雰囲気になった人がいて、それぞれ隠れていた。かくれんぼが終わった時、相手の男はどこかに忽然と消えていた。でも誰かと一緒に抜け出そうってしてたのは、なんとなく覚えているけど、相手の男のことを思い出せない。よくよく考えてみると自分の方が思い違いな気がしてきて、忘れることにした……


 なんてことがあったんじゃないかって。


 俺にも似たようなことがあるから。

 今まで勘違いだって思って、すっかり忘れてしまっていたことだ。

 小学校の時にしてたかくれんぼで、俺が勘違い男だったかもと思い込んで忘れてしまっていたあの違和感、あの違和感は本当なんじゃなかったのかって。

 かくれんぼの途中に気づいた違和感の正体は、消えてしまった誰かじゃないのかって。でもその子のことを俺もみんなも思い出せなくなってるだけじゃないのかって。


 だって思い出したんだ。


 ケイドロは、いつも警察役と泥棒の同数(・・)でやっていた。


 小学校の時にいつも遊んでた奴らは俺を入れて九人だ。どうやったって同数に分かれられない。同数で分かれるのに必要な一人が足りない。


 ……かくれんぼの最中に誰かが消えた。

 ……そのことを誰も思い出せない。


 そんな妄想じみた考えに襲われて、俺は何度も頭を振った。

 わかってる。きっと考えすぎなんだろう。


 でも俺は思う。

 子供ができたら、絶対に かくれんぼ だけはさせたくない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ゼロ距離間のお話で、大人のかくれんぼはカップルが2人だけで他人の目から逃れる口実(という意味も入ってますよね)には笑ってしまいました。 [一言] ゼロ距離感は良かったのですが、その代償とし…
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