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【休載】戦闘メイドは異世界で魔女を探す  作者: 瑞城弥生
第一章 ようこそ異世界へ
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007 悪役令嬢物に出てくる王子様のようだった。

4月から資格試験勉強を始めるので、更新頻度が下がります。気長にお付き合いください。

 パーティーの登録にはパーティー名が必要だったが、なかなかいい名前が思いつかなかった、気に入らなければ後で変えられるそうなので、仮に「ウィッチサーチャー」にしておいた。特別な意味はない。ただの目的だ。


 Bランクの冒険者は一つ上のAランクのクエストまで受けることが出来る。ただし、ランクの違う冒険者によるパーティーは、メンバーのうち最上位である冒険者のランクが上限だ。つまり、イワノフとパーティーを組んだ榛名が受けれるクエストはBランクまでだった。

 イワノフと一緒なら国内の移動は簡単だけれど、のちのち単独で行動する事を考えれば、とりあえずランクはDにしておきたい。そのためには、今のレベルを少しでも上げておくべきだろう。


「ところでダンジョンでレベル上げとかできないの」

「ダンジョンだと」

「この村にもあるんでしょ、ダンジョン」


 シヴァの記憶に、ダンジョンという言葉はなかったけれど、この世界観ならあるはずだ。そもそも一介の村娘が、ダンジョンと関わる可能性はほぼ皆無だろう。知識として知る必要も、そんな機会もなさそうだった。インターネットとかもないからなぁ。


「あるにはあるが、知らないのか?」

「村娘の知識の浅さは知っておいいてもらいたいな」


 その程度の戯言程度では、イワノフは納得してくれたりはしなかったが、渋々ながらも説明はしてくれた。


 この村にあるダンジョンは、Bランク相当の難易度で名をフウレンと言う。強いモンスターが出現する割に、ドロップ品がしょぼいので挑戦者は多くない。けれど人が少ないということは、レベル上にはちょうどよい環境である。それにBランク級ダンジョンは、Bランクの冒険者と一緒であれば、初心者のFランクでも入れるのはありがたかった。


「そこに行こう。今すぐ行こう」

「まてまて、二人だけで入る気か」

「だめかい?」

「だめでじゃ無いけれど、回復役は連れて行ったほうがいい」


 思い当たる奴がいるから誘ってくれるということで、それについてはイワノフに任せて、榛名は自分用の武器と装備を買いに行くことにした。


「おまえ、刀は持っていたよな」

「あれはだめ。MPを食いすぎる。普通の刀が必要なんだよ」


 イワノフと対峙した時は、例のキューブを刀に変換して使用したが、使ってみてわかったのは結構な量のMPを使うことだった。その効果として攻撃力は上がるけれど、今のMP総量では長期戦に対応できない。


 てなわけで冒険者御用達の武器屋に向かった。


 さすが異世界である。武器も色々あって見ていて飽きない。以前の戦闘形式は防御タイプだったけれど、今更盾を持つのも味気ないし、何より面白くない。しばらくは最も苦手である攻撃タイプで行こうと思った。


「随分とご無沙汰じゃないか」

「悪いな。今日はこいつの武器を探しにきた。新しいパーティーメンバーだ」

「お前がパーティー組むと珍しい」


 店主とイワノフが何やら話し込んでいるの横目に、武器を選ぶ。

 色々悩んだけれど、使い慣れた日本刀っぽいものにした。他の武器を使った経験はあまりないから、新しい武器はある程度レベルが上ってから挑戦しようと思う。


「お嬢ちゃん、それを使うのか」


 店主は榛名の選んだ武器をみて驚いた。これを使う冒険者はこの国にはほとんどいなく、これもたまたま異国の商人が持ち込んで来たのを、面白半分で仕入れたものらしい。結局価値がわからず死蔵品になっていたそうである。。


「試し切りとか出来るかな」


 せっかくなので、購入前に試し切りをしたいと申し出たところ、店主は喜んで裏庭に案内してくれた。そこには太さ十センチほどの丸太が立ててあった。

 最近やっていないから、うまく出来るかどうかとても不安だったけれどせっかくなのでチャレンジしてみた。

 一瞬で刀を振り抜き、素早くそれを鞘に収める。

 いわゆる居合だ。

 刀を鞘に収めて少し時間を置いてから、丸太は上部三十センチくらいのところできれいに切断された上の部分が地面に落ちた。

 どうやらうまくできたようだ。


「お前何者だよ」


 イワノフのつぶやきは、聞こえないふりをする。

 なんとなく違和感を感じたのでこっそりとステータスを確認すると、スキルの欄が新たにできていて、そこに「居合」の文字があった。

 よくわからないけど、スキルというのがあるらしい。ダンジョンに入ってから色々試してみようと思う。

 

 武器を手に入れたので、次は装備である。ダンジョンに潜るのに村娘のワンピースでは場違いだ。それに動きにくい。まずは基本の服装だろう。防御力の数値を見る限り、また防具は必要ない。

 武器屋の店主に近くの店を紹介してもう。中世ヨーロッパ的な異世界だから店に出来合いの服が並んでたりすることはない。ワンオフだ。オーダーメイドだ。

 ということで、榛名は着慣れた制服のデザイン画を描いて店主に渡した。


「これでお願いしたい。素材はなるべく強いものを使って耐久性を高めてくれると有りがたい。できれば防御のエンチャントなんかアレば言うことないな」


 店主は奇妙な表情をしていた。調子にのって出来るかどうか分からないエンチャントの話をしてしまったけれど、それについては普通に聞き流されたから、多分そう言う技術はあるんだろう。

 二日ほしいと言われたので、前金を払って店をでた。


 店の前では、イワノフがイケメンと話をしていた。イケメンは悪役令嬢物によく出て来る王子のように輝いていた。さすが異世界だなと感心していると、王子が榛名に気づいて手を上げた。


「やあ、はじめまして。君がシヴァちゃんだろ」

「ええ、まあそうですけど、もしかして王子様ですか」


 現実と創作がごっちゃになっていた。いや今いる世界も大概だけれど。


「なぜバレたし」


 イケメンは驚愕の表情で固まっていた。

 本当に、王子様のようだった。

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