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【休載】戦闘メイドは異世界で魔女を探す  作者: 瑞城弥生
第一章 ようこそ異世界へ
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011 ケイン王子の憂鬱。

本日二話目です。

 それなりの難易度を誇るダンジョンの、その先頭を歩く少女が無双していく。それは明らかな事実ではあるが異常だった。信じられないことだった。しかもその少女は自称元村娘のFランク冒険者だと言うではないか。

 一人でゴブリン五体を相手にすると言った時驚いた。それはCランクの冒険者でも難易度の高いクエストである。


「大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。問題ない」


 Bランクのイワノフがそう言うなら問題はないだろう。それなりの実力者なのは感じていた。それでも心配だった。なにせ目の前にいるのは元村娘の少女なのだから。

 しかし次の瞬間、そのの認識も怪しくなった。ゴブリンは五体とも一瞬で魔石へと成り下がったのだ。


「なにあれ」

「だから問題ないと言ったはずだ」

「いやしかし」


 ケインは王子ではあるけれど一応Cランクの冒険者でもある。そのケインから見ても、あのシヴァという少女は異常だった。アレほどの攻撃は見たことがない。

 以前Sランクの冒険者同志の模擬戦を見たことがあるけれど、それに匹敵する動きだった。


「本当に何者だ」


 戦いだけではない。普通は王子に会って冷静で居られる村娘などいない。大抵の平民はかしこまって会話することもできないだろう。けれどシヴァは違った。まるで王族に接するのが当たり前のような態度だった。

 イワノフのように長いこと師弟関係にあられば理解できる。けれど、会ったばかりの村娘の対応としてはいささか軌道を逸していた。

 だからこそ、興味が湧いた。

 だからこそ、ダンジョン攻略に参加した。


 しかしこれは思った以上の成果である。

 この娘なら、ユニテの護衛騎士としても実力は十分だ。


 それからもシヴァはモンスターを狩りまくった。

 どんなモンスターが現れても、冷静に対応し、しっかり倒していった。

 

 そしてついに、重厚な扉にたどりつく。


「ここは中ボスの部屋だ。どうする」


 このダンジョンに四つある中ボスの部屋の一つだ。ギルドでは四天王と呼ばれている中ボスだけれど、その中で最弱のこいつは、Dランクであればなんとか一人で倒せるレベルだ。イワノフと僕がいれば問題ないだろう。


「イワノフなら倒せるのか」

「ケインがいれば余裕だろう」

「ならばいこうか」


それを聞いてシヴァは安心したようだ。全く躊躇していない。それだけ自信があるのだろう。確かにイワノフ一人でも倒せるレベルだし、僕がいれば余裕である。

 けれど、シヴァは、この少女は一人で倒す気でいるらしい。

 今更無謀だと言う気はない。

 彼女の力は本物だ。そしてその戦い方は美しく、つい目を奪われてしまう。しかも容姿も相当なものである。もし彼女が伯爵家の令嬢であれば、后候補に指名することもできただろう。

 いや、この器量にこの戦闘力だ。いずれ頂点に上ってくだろう。  


「お兄様、あの方がほしいです」


 ライラが耳打ちをしてきた。僕は黙ってうなずいた。

 しっかりとシヴァの実力を見極めて、王家に取り込もう。この国のために、いやユニテのために。


「彼女とはどこで出会ったのだい」


 もう少しシヴァの情報が欲しくてイワノフに問いかける。

 たまたま潜入調査中の貴族を怒らせて連れ込まれた屋敷で対峙したそうだ。周りを囲んでいた冒険者を瞬殺し、イワノフの剣を吹き飛ばしたらしい。だから彼女の素性については何も知らないそうである。


「そう言えば、目的があるって言っていたなぁ」

「目的」

「ああ、魔女を探していると」


 驚いた。魔女については禁則事項だ。王族とSランクの冒険者にしか知らされていない国家秘密だ。なぜ彼女が魔女の存在を知っていて、しかもそれを探しているのかわからないが、そうと分かればすぐにでも囲い込むか、最悪処分しなければならない。しかしこの場で判断するのは難しかった。彼女に魔女の存在を教えた人物が居たとしたらそれを突き止めなければならないし、なぜ魔女を探しているのかは問い詰めないといけない。


「その言葉は、禁則事項だ」


 めったに使うことのない威圧をまとってイワノフに忠告する。それだけで、イワノフは理解してくれた。


「ならば、お嬢ちゃんはケイン、お前に預けよう」

「ああ、そうしてくれ」

「だが、オレも着いていくぞ」


 どうやらイワノフも彼女の魅力に気づいたらしい。

 

「魔女か」


 面倒くさい事が起こりそうな未来を憂いてためため息を付いたケインの目には、中ボスである鬼を簡単に切り捨てるシヴァの姿が写っていた。

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