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31 異世界のドラキュラ伯爵物語

誤字脱字がありましたらご連絡下さい^_^



よろしくお願いします。

「ドラゴン・キュラ伯爵様 連行して参りました。結界を破壊したと本人は戯言を申しております。」


 燕尾服を着た親衛隊長の男が報告する


「たわけが!私は丁重にお連れしろと申したのだ!連行しろとは申しておらんぞ!」


 ドラキュラが隊長に一喝する


「旅人方々よ・・・配下の者が大変失礼な事をした。すまんこの通りだ!許してくれ・・・」


 ドラキュラは頭を下げてジッとする・・・


 !!!


 アキラはノリコ達を見るとうなずくを確認してから・・・


「分かりました。ですから頭をお上げ下さい。ドラゴン・キュラ伯爵様 コチラも許しを乞わなければ成りません。私の不注意で結界を壊してしまいました。申し訳ございません。」


 アキラも頭を下げる・・・


「それには及びません・・・むしろ結界を壊して頂きお礼を申し上げてなければならない所です。何をしている!皆様の拘束を解くのじゃ!」


 手を前に突き出し配下に命令する


 !!!


 そしてアキラ達全員拘束を解かれ自由の身になる


「先程の結界の破壊のお礼とは?ご説明頂きたく存じますが・・・差し支え無ければですが」


 アキラは拘束されていた手首の状態を確認しながら質問する・・・


「無論説明するつもりじゃ・・少し話しは長く成りそうだ。客間があるのでそこでお話ししよう・・・誰か!お茶と茶菓子を持って参れ!ささあコチラへ・・・」


 アキラ達は豪華な居間から客間に移動する・・・


 真っ赤な絨毯が敷かれ高そうな壺やら絵画のある通路を通って行く


 アキラは結界を破壊して最悪死刑になるのではと思っていたのが逆に礼を言われ訳が分からず戸惑っていた。



「皆さん お掛けください・・・その内に茶菓子が届くでしょう・・・改めてご挨拶します。私がここの城主のドラゴン・キュラ伯爵と申します。」


 ドラキュラ伯爵は軽くお辞儀をする・・・


 とても紳士的で吸血鬼ドラキュラのイメージは皆目なくむしろ好感が持てる態度だ


「申し遅れました。御子神アキラと言います。今は旅の途中で冒険者やりながら世界を回っています。あと仲間が妹の御子神ノリコと明神京香とソフィア・スターリンにケイオスとキャロルです。」


 アキラが代表で紹介して順番に頭を下げて行く


 するコンコンとドアをノックしてメイドがお茶と茶菓子をテーブルに並べてる・・・


 座ってるソファーもゆったりして長い事座ってると眠ってしまいそうな座り心地満点のソファーだった。


「どうぞお召し上がり下さい・・・食べながら聞いて下さい。」


 陳列された茶菓子はクッキーやら小さなケーキやらで女子達は甘い物に目がない大喜びでお菓子を平らげてゆく・・・


 メイドが無くなった茶菓子をドンドン補充して行く


「皆 伯爵様の前だからもっとお上品に頼むよ・・・」


 アキラが言うと


「アハハ・・・気に入って頂き何よりです。沢山有りますのでお気になされずに・・・」


 と微笑むドラキュラ伯爵の中で悲しい表情がチラッと浮かぶ


「それではこの国に強力な結界があるのかをご説明しましょう・・・」


 アキラは居住まいを正して真剣に聞く・・・


「実は伯爵と言われていますが私は人と魔族の混血なのです・・結界が貼られる前は交易も盛んで豊か農地も有りとても私が言うのもなんですが良い国だったのです。」


 指を組んで話す伯爵


「それが他国からすれば占領の候補になり戦争を仕掛けられるのは良くある事でした。ヨーピリン大陸の田舎の東端で戦力は父のドラゴン騎士団は強力でしたが父か亡くなり代が私に変わった途端色んな隣国から御競り合いが頻繁する様になりました。」


 私は戦いが父より得意では有りませんでした・・・と両手を軽く開げたジェスチャーをする


「小競り合いは日常になり・・・時折私息抜きに狩りに出掛けていました。そこで傷ついた小さな魔獣を気まぐれに助けたのです・・・その助けた魔獣は言葉を喋り恩返しにまた来ると告げ去りました。不思議な出来事でした。」


 窓から遠くに見る目をして話す伯爵その時の情景を思い出しているのだろう


「それから・・・日々の小競り合いに埋没して行く日が過ぎ去り・・・助けた魔獣の事は綺麗さっぱり忘れていました。そんなある日1人の美少女が私を訪ねて来て会いたいと配下から聞いた時は敵国のスパイで私の命を狙っている物だと思い牢屋に入れました。」


 ため息をつく伯爵


「牢屋で面会をして美少女に会って話をすると恩返しに来たと忘れていた魔獣の姿に変わった時は心底驚きました・・・

 喋る魔獣がわざわざ恩返しに来るなんてお伽話でも聞かない話しです。私はその心意気に胸を打たれ美少女の姿をした魔獣と生活する様になり・・・そして互いを愛し合う様になったのです・・・」


 最初はバリバリと茶菓子を食べまくっていたノリコと京香とソファーとキャロルとケイオスは食べるのを忘れた様に伯爵の話しに釘付けになっていた・・・


 悲しみの顔から当時の出会いを思い出したのかわずかにドラキュラ伯爵に笑みが浮き上がる・・・


「それから1年・・・小競り合いは次第に数が増えて父から譲り受けたドラゴン騎士団の兵士の数が激減していきます。

 それでも皆奮闘してこの国を・・・そして戦争下手な私を支えて守り続けてくれていましたが形勢は次第に悪くなって来ました。」


「そんな中でも私は幸せでした。美少女の魔獣にカーミュラと名付け結婚を誓い式上げ我妻となったその日・・・カーミュラは私に別れを告げたのです・・私は今も悔やんでおります・・何故気が付かなかったのか?カーミュラは私と再開した日からずっと1年以上結界を貼り・・・最後に自分の命を注ぎ結界を貼ってこの国をそして私も守ってくれたのです。恩返しと言う約束を守るために・・・」


 悲しみが深くなる伯爵今でも愛する人を愛し続け亡くした悲しみを背負っているのだと・・・


「私カーミュラさえ側に居てくれれば良かっただけなのに伯爵と言う地位で民を守り通さなければならなかった為にカーミュラの後を追う事は出来なかった・・・何度も死のうとしたが・・・ダメだった。私を民を守る為に散ったカーミュラには民を守り切った私でないとあの世で怒られそうだと思いました。」



 伯爵とカーミュラが互いに深く愛する姿を聞いて女子達はボロボロ涙を流して泣いていた・・・


「あれから10年の歳月か経ち隣国も侵入する事が出来なくなり平和な国にする事が出来ました。また平和な時でも鍛錬も怠らず身体強化の魔法を開発し単身で空をも飛ぶ事が可能になり・・・ドラゴン騎士団も増強し人員も増え防衛の為の軍備もできてこの国も独立して充分生き抜いて行けるだけの国力を備える事が出来ました。もう私が居なくても大丈夫です。カーミュラの元へ私は行こうと思います。ですから結界が破壊されたのは丁度良い機会だったのです。」


 ・・・


 シーンと話しが終わり静まり返る・・




「あるじ様あん〜!ケイオスは!ケイオスはあるじ様の為に死ねます!」


 とケイオスが号泣して良い話しを台無しにする・・


「わかったよ・・・ケイオス」


 アキラ優しく頭を撫でてやる・・・ケイオスや皆を俺も守り切る決意をする


 ケイオスは純粋過ぎる性格だ・・・


 だから分かる俺の為なら命も厭わないと・・・


 ジンと胸が熱くなる・・・




 アキラはドラキュラ伯爵へ向き直り聞く・・・


「ドラゴン・キュラ伯爵様・・・カーミュラさんはお墓は何処にあるのですか?」


 !!


「カーミュラはこの城の地下に安置されています。」


「では是非・・・お弔いをさせて下さい」


 ・・・


「わかった・・・案内しよう・・・」



 ドラゴン・キュラ伯爵はもう思い残す事は無いスッキリした面持ちで答える・・・



 長い廊下を歩き突き当たりの階段を降りて行く・・・



 石の祭壇に寝かされた美少女がカーミュラさんなのだろう・・・



 両指を組んでお祈りする姿勢で横たわっているのを見ると10 年の歳月のせいだろう・・・


 ミイラ化している・・・



 アキラは祭壇に近付き弔う・・・


「伯爵もし・・・カーミュラさんが生き返るとしたらどうします?」


 アキラが聞く


 !!!


 驚き!少し時間を置いて首を横振る・・・


「この世界は蘇生の魔法は伝説にしかありません・・・それにこの様な10 年の時が進んだ今もう不可能でしょう・・・有り得ません」


 ドラゴン・キュラ伯爵はもう元の平静に戻り答える


「この世界は努力しても報われるとは限りませんが・・・せめて報われた人は努力した人の中にしかいない・・・と良く父が言ってました。伯爵様あなたは報われるべき人の様ですね。」



「時限回帰エクリーサ!」


 アキラが呪文を唱える・・・



 !!!



「こ!これは!・・・」


 祭壇に光りの粒子が集まり・・・


 ミイラ化したカーミュラの姿に降り注ぐ・・・



 みんな息を殺して見守る・・・



 奇跡の瞬間を・・・



 グラグラと地震が起きる・・・



 近くの湖畔の水竜巻・・・


 城の上空で光りの粒子となり地下の祭壇に向けて降り注ぐ・・



 同じく山の土が舞い上がり・・・


 城の上空で光りの粒子となり地下の祭壇に向けて降り注ぐ・・


 隣りの火山が噴火し・・・


 城の上空で光りの粒子となり地下の祭壇に向けて降り注ぐ・・



 暗黒の雲が現れた収束した光りに稲光が数秒おきに稲妻が発光して


 城の上空で光りの粒子となり地下の祭壇に向けて降り注ぐ・・


 どれくらいの時間が経過したのか・・・


 1時間いや2時間は経ったのだろうか・・・



 祭壇に降り注ぐ光の粒子が止む



 ミイラ化していたカーミュラの顔は赤く染まりみずみずしい綺麗な白い肌に戻っていた・・・



 誰も長い間・・・


 無言で祭壇を見つめ奇跡を目の当たりして感動で胸を膨らませていた



 ドラゴン・キュラ伯爵が祭壇にもたれ掛り愛するカーミュラの艶やか頬を涙を流しながら撫でていた・・・


 硬直していたカラダが上下に動く・・


 呼吸が始まった事がわかる


 次第に・・


 唇がかすかに動きスーと呼吸音がする


 伯爵は嗚咽を抑える事が出来なくり・・


 は慄える声で


「あぁ・・・カーミュラ・・神よ・・奇跡よ・・」



 うっうう・・


 涙が溢れて止まらない伯爵



「あなた・・・そんなに涙を流されてどうされたのですか?」


 !!!


 眩しそうに伯爵を見つめるカーミュラ・・



 人は歓喜に慄える時感情を抑える切れず号泣する事がある


 ありとあらゆる感情が爆発して人は泣くのだ・・・


 号泣する伯爵にカーミュラは黙って愛する人の髪を愛おしいそうに撫でている・・・


 いつまでただ撫でている・・・



 アキラ達の姿はもうそこには無かった・・・




 こうしてドラキュラ伯爵とカーミュラは末永くいつまで愛し合う仲睦まじいく2人は愛の生涯をハッピーエンドで閉じるのであった。


 そうして生涯を終えた2人のお墓にはひとつのメッセージが書き添えられていた・・・



 親愛なる勇者とその仲間達へ・・・


 報われたドラゴン・キュラとその妻カーミュラが感謝の意をここに捧げる





 そしてこの物語はお伽話となり永遠に語り継がれて行くのであった。


 勇者の冒険譚のひとつとして・・・











応援よろしくお願いします^_^



アキラ達の冒険はまだまだ続く!

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