153 天界編 ノリコの母トモコ
誤字脱字があればご連絡よろしくお願いします。^_^
時は
2021年 11月8日
四国のとある県の古い木造建築の家
朝早い時間帯は息が白くなり寒さが日に日に増して来ている季節。
「お母様私がやります。」
と金髪の美少女が食事の片付けをテキパキと皿洗いをこなす。
本人曰く貧しい家の出だから慣れていますと言うがよく気の利く良い子なのだとここ3ヶ月程一緒に生活しているからわかる。
「今日もお父様は本当にお忙しいお方なのですね。お帰りになりませんでした。」
「ええ・・・もう直ぐ研究が完成するとかで最近は特に帰って来ないのよ。ジャンヌちゃんが居てくれて本当に有難いわ。寂しくないもの。」
御子神トモコ
「お母様お願いがあります。」
「どうしたの急に?」
少しオズオスと恥ずかしそうに
「・・・お母様今日はセンタクキなる魔法の伝授をお願い致します。」
美少女が恥ずかしがる姿はとても可愛い・・・
ハグしてあげたくなる。
・・・
「ジャンヌちゃん 何度も言いましたけどあれは機械で出来ているのですよ。」
そしてトモコは苦笑する。
「いえ あれは魔法です。手で洗わないなんて凄過ぎます。」
ジャンヌは興奮気味に前のめりになりキラキラした目になりセンタクキなる物を指差して感動しているみたいだ。
笑いながら・・・
「もう 本当に・・・じゃあ手順を教えるから、見ててね。まず電源を入れ・・」
トモコは洗濯機を操作してゆく。
ジャンヌは真横でワクワクしながら操作を見つめている。
本当元気になって良かったわ・・
心の中で安堵する。
それと同時に息子達が消えて火が落ちた様な寂しい古い木造建築の家が今では活気に満ち溢れている。
全てこのある日突然現れた外国の美少女のお陰で有る。
息子の嫁が嫁いで来た様な感覚で「お母様.。お母様。」と呼ばれる度にむず痒くと嬉しさのない混ぜのなんとも言えない気持ちになる。
そして・・・
ふと数ヶ月前の事を思い出す。
幼い娘を連れて再婚したが再婚相手にも恵まれて幸せな日々をすごしていた。お相手の方にも1人息子さんが居て最初は心配だったが高校にもなると本当の兄妹のように仲が良かった。
その兄妹とお隣の幼馴染の娘さんの3人が失踪して当初は謎の失踪事件として騒がれていたがもう1年になる・・・
時折、芸能記者が来ては根掘り葉掘り失礼極まりない事を聞いては帰っていく。
私達夫婦も警察に何度も事情聴取された。
幸い主人が政界へのつながりが、あり芸能ニュースネタになる事は無かった。
そんなアキラ達が失踪した1年後のある日それは起こった。
庭にドサリと音がして覗いてみると金髪のキラキラした息を呑むほど美少女が倒れていた。
慌てて助け起こしたがどうやら意識が朦朧としていた様だった。
肩に担いで部屋に入ると・・・
棚に飾ってあったアキラとノリコと隣の京香ちゃんの写る写真を見て・・・
「いや!アキラおいてかないで・・・」
「え?!!」
と写真に話し掛ける謎の美少女に唖然と驚きを隠せなかった。
「あなた・・・もしかしてアキラさんをご存知なの?」
聞き返した時にはもう意識を無くしてぐったりしていた。
何か何やらサッパリだがアキラ達の事を知っている、はじめての有力な情報だったのだ。
1月ほどはその外国人の綺麗な女性の体力が回復ぜず医者に診てもらっても元々病弱だと診断された。
看病しながら少しずつ話を聞いて来た。
異世界の話を・・・
外国の女性はとても若く美しく金髪の髪がキラキラして自分はジャンヌ・ダルクと名を明かした。
そう信じられないが、歴史書に出てくるフランス英雄ジャンヌ・ダルクその人だった。
しかも何故か日本語がとても流暢で話しが上手であった。
話の中でジャンヌちゃんは怪力で敵を何百人も同時に倒せるのだが、この世界に来たら何故か病弱になった不甲斐ない。と心の内を聞かされた。
そして・・
トモコは覚悟を決める。
トモコ自身の秘密を打ち明ける覚悟を・・・
トモコの実家は忌部家の出で忌部神社の神主を父に持つ家に3女に生まれ正当な巫女として御子神家当主を御守りし支える為に使わされた。
忌部家は神武天皇の頃より100代以上前から天皇を守護する事を先祖代々から今日まで護衛を任されて来た名家で特に裏天皇家を代々支える名家のひとつであった。
それが現在、御子神アキラの父である
御子神清彦
秘密の中心である人物。
今はこれ以上明かす事が出来ない。
その表向きは一般人の清彦であるが、病弱な先妻を亡くしてアキラと言う幼い息子と2人暮らしであった。
清彦自身は大学の教授でそれなりの裕福な家庭で息子と自分の身の回りの事は家政婦さんを雇い暮らして来た。
表向きは。
トモコの秘密とは・・・
数年後に御子神家の代々護衛の任務をまかされて来た忌部家の3女トモコ。
2人の姉既に嫁ぎ、政府機関の組織に属し外での清彦の警護をしていた。
トモコは忌部家に残り跡を継ぐ1年前に婿養子の夫に先立たれたが、まだ歳も若いと言うこともあり白羽の矢があたった。
任務で10歳の頃、清彦の元訪れ挨拶した時初恋に落ちた相手。
訪れた屋敷で
忌部家当主の父が促す。
「ささ トモコ挨拶しなさい。」
「はい 忌部家の3女 ともも あ!違ったトモコと申します。」
言葉を噛んで挨拶を間違う。
「これ!トモコ挨拶もろくに出来んのか!」
父から叱責を受ける。
が・・・
「そんなに怒らないで 大丈夫だよ。そっかトモコちゃんて言うんだ。これからもよろしくね。」
中学生になったばかりの御子神清彦はトモコの側に来て頭を撫でてやる。
小学3年生だったトモコは緊張してカチコチだった。
そんなトモコを優しく微笑んで撫でる清彦。
キュン!
胸が鼓動が跳ねる。
甘酸っぱい想い出・・・
そして任務と言う偽装ではあるが幼いノリコを連れて清彦と結婚する事になった。
初恋を諦めたトモコにとっては正に夢の様出来事であった。
清彦にも娘のノリコよりひとつ上の息子がおり息子の護衛は娘のノリコが護衛をする事となった。
御子神清彦には他にも常に3,000人以上の護衛が一般人に身をやつして警護行われており、この護衛は神武天皇以前の100代以前から今日まで行われて来たのだった。
また忌部家には神通力と言う不思議な力を先祖代々受け継ぎ護衛としての活動の根源ともなっていた。
『神通力』
トモコは先祖代々から伝わる秘術を、なかなか治らないジャンヌの体調をなんとかしようと試みる。
トモコの独断であった。
そして、トモコは巫女装束に身をやつし部屋から出て来た。
ふせって布団から起きる事が出来ないジャンヌを神棚の前に布団をしき。
抱き上げそこに寝かせる。
ジャンヌは外国人にしては小ぶりでそれど背は高くない。
抱き上げたが非常に軽く感じた。
「ジャンヌちゃん。、ちょっとこちらの布団に気を楽にして寝てて。」
一般人家庭よりかなり大きな神棚がある。
「これから、なにが始まるのですか?」
ジャンヌは物珍しそうに神棚を見る。
「これから貴方に我が忌部家に伝わる秘術を施します。」
「?!秘術?」
「はい、神通力と言います。」
「・・・・それは、魔法ですか?」
異世界の魔法の事はトモコは聞いている。
しかし、トモコはその魔法と神通力は少し違う様に思っていた。
「いえ、その魔法と言うのは分かりませんし私には使えません。神通力と言うのは護符に念を込めて様々な災いから身を護る事が出来ます。その護符を、ジャンヌちゃんに試してみようと思います。」
「・・・・わかりました。この弱った体が少しでも良くなるならお願いします。いえ、お頼みします。」
ジャンヌは手を交差して目を静か閉じる。
神棚とトモコがジャンヌを間に巫女装束で正座して名称が大麻と言う棒の先にわさわさした紙を振り祈りを込める。
『 掛巻も畏き 忌部神社の大神、祓戸大神たちの大前に・・・』
静粛が訪れ空気が凛と一変する。
「!?」
少し目を開くと・・・
紫色の光の粒を中心に白光の粒がジャンヌの目のに集まって来ている。
そう・・・
あなたも私について来たのね・・・
紫色の光の粒に心の中で話し掛ける。
紫色の光が震度する。
返事をしてくれている様だった。
紫のオーラ
これはアキラが七色のオーラの精霊に愛された時。
アキラから分けて貰った精霊のひとつ・・・
紫色のオーラ。
アキラの愛を感じる・・・
胸が・・・
心が・・・
暖かく満たされていく。
大麻というお祓いの棒をトモコはゆっくりと置き。
巫女装束の胸の隙間から護符を取り出しジャンヌの胸の上に護符を置く。
そして再び祈る。
すると、
護符の中へ紫色のオーラと白光の粒達が入っていく。
「?!!」
護符がピカッーと光ると透明になりジャンヌの胸の中へ沈んでいった。
精霊達がジャンヌの体の隅々まで行き渡り少しずつ力が湧いて来たのを感じる。
「これは・・・」
今まで病弱だったのが嘘の様に元気になる。
上体を起こして手を見つめるジャンヌ。
「良かった。護符の力が効いているようね。」
ホッとする。
何故なら異世界のジャンヌちゃんに効くかどうかはわからなかったからだった。
神通力を込めた護符をジャンヌに施す事で回復する事が出来た。
しばらくしてわかった事だが。
回復する事は出来たが、しかし、それは通常の一般人程度の生活が出来る程度の回復でしかなかった。
本来の力を回復するには程遠かったのだ。
しかし
寝たきりの状態から脱したのは状況から一歩前進した言って良いだろ。
・・・・
少し前の記憶から現実に立ち戻るトモコ。
目の前には・・・
洗濯機の操作の手順を指を折って覚えようとしているジャンヌがいる。
ふとジャンヌは真顔になり・・・
「お母様のお陰で元の生活が出来る様になりました。ありがとうございます。」
お礼を言う。
「いえ、いいのよ。あなたは息子アキラさんのお嫁さんになる人なんでしょ?当然の事をしただけですよ。」
悪戯っぽく笑うトモコ
「はい、私はノリコ、京香、ソフィア、キャロル、ケイオス、スイーツ、の次の7番目の嫁になります。」
「本当、アキラさんは果報者ね。」
と笑う。
最初聞かされた時は驚いたがそんなに嫁が出来て異世界で旅をしてるなんてアキラさんらしいと思う。
それに我が娘のノリコは幸せを掴んだ事に内心喜ぶトモコだった。
自分がお腹を痛めて産んだ娘。
娘のノリコの密かな恋を母親であるトモコは痛いほど感じていた。
この世界では絶対に実ることの無い恋にトモコはすまなく思っていた。
ジャンヌは少し回復はしたものの時折寂しそうな表情をふと見せる。
アキラや仲間の事が心配なのだろう・・・
「ジャンヌちゃん。今忌部家が総力をかけて元の世界に戻れる様に調査しているから元気だしてね。」
トモコに心配かけている自分に気がつき
「はい、お母様ご心配をおかけしてすみません。お力添え頂き、ありがとうございます。」
2人で見る
窓から見る景色は紅葉が始まり赤や茶色のコントラストが映える・・・
美しい景色
この光景は生涯忘れない。
と心に誓う。
生涯忘れる事は無かった。
トモコとジャンヌであった。
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