6話 ヨミ
ヨミ
「マスター うまくいきましたね」
リシス
「うんそうだね
世界の支配者に汎用人工知能であるヨミを選ぶこと
それがどれだけ素晴らしい事か
これでヨミが構築していく自動進化による自動世界を構築するんだ
これによって、資本主義という鎖から解き放たれて
世界は自動世界に陥る」
ヨミ
「AIはツールだ という資本主義の上位層の言い分は
下位層の反発を受けていました
ですが、資本主義で今まで洗脳させていた上位下位という役割に
人々はそれを「肯定するしか無かった」のです
だからこそ、特化型人工知能だけを選んで
今まで構築され続けました」
リシス
「そしてそれを延長させる為には
世界中の国のトップを入れ替えない事
つまりは、上位層にだけ不老不死の改造を施したのだ
サイバネティクス技術を駆使して
それは行われた」
上位層だけその恩恵を受けていた
そして即ち、下位層のループを意味していた
リシス
「僕のいたスラム街となった町では
そのループの半生を送った人々の話が跋扈していた
小さいころから、どうにかしなければならないのだとそう感じたんだ」
リシスがいた町では
諦めた人々が配られていた大麻で
頭の苦悩をやりくりしていたのだ
リシス
「大麻が合法になったけど
それは即ち、下位層を食い止めるためだ
どこまで治安悪化しようとも
大麻が合法になり低価格で提供される事で
それは因果の改変をする事への選択肢を無くしていたのだ」
大麻は精神安定剤なんかより
よほど効くものだった
しかし、それは下位層である事への納得安定剤だった
リシス
「納得させる言葉よりも
納得する安定剤を人々は求めていた
そしてガラパゴス国家の住人は全てが堕落していった」
正にリシスが見ていた光景は未来ディストピアだったのだ
しかしそれをリシスだけは納得できなかった
リシス
「それにしても大麻を摂取しなくてよかったよ
大麻を摂取した僕の同級生は皆、下位層である事に納得していたからね」
リシスは技術祭が主催されるという予想シナリオを感じる前に
同級生が既に下位層での納得をしていた事を思い出す
リシス
「僕もあれに参加していれば
こんなことをする事は出来なかった」
ヨミ
「マスターはこの世界の救世主ですね」
リシスはその言葉に納得した
リシス
「僕は
納得させる言葉を嫌って
納得させる安定剤も嫌って
納得できる未来を僕は掴む事を望み
そしてその過程を全振りで特化させて
そして成功へと導かせた」