バンドやろーぜ?
よし、バンドやろう
そう言い出したのは幼稚園からの幼馴染幸人、僕は余りにも唐突で突拍子もない提案に一瞬思考が追いつかなかった。
でも、納得は出来た。
幸人は昔からロックと言うやつを愛していて、いつか俺もやりたいとは言っていた。
言っていたけどまさか自分に矛先が来るとは思わなかった。
まあ多少自分もロックは聴くし銀杏BOYZやブルーハーツには憧れる。
でもどこか自分で人前に立つことや自分の気持ちを前に出す事にブレーキをかけていた。
そんなことを考えてると幸人が続け様に
「俺とお前が組めば最強だと思うんだよ。お前がギターとボーカル。そんで俺がドラム。」
そう言いながらそのへんに転がってたシャーペンと机で即席ドラムをやるゆきと。
「ちょっと待てその自信はどこから来るんだよ。しかも俺ギターとかやった事ないし」
慌てて自分の不甲斐なさを幸人に伝えると
「いや、これは真面目な話俺とバンドを組んで次の文化祭で披露する。そしたらお前の好きなあの子にもアピール出来る。もしかしたら、これをきっかけに付き合えるかも知らないぞ。」
そんな事を言う幸人の目はガチだ。
こうなったら止められないし、止めようとも思わない。
何故ならあの子とは付き合いたい自分がいるからだ。
「分かった。じゃあやってみるよ。」
僕がそう言うと幸人は
「さすが俺の親友。じゃあ、次はベースとリードギターだな。大体の目星は着いてるから今日のお昼休みにでも行こうぜ。」
そう言って朝のホームルームがある為ゆきとは自分の席に戻っていった。
ゆきとの後ろ姿を目で追ってると廊下側の窓から歩いているあの子と目が合った。
目が合っただけで僕は何も出来ずに下を向き、上がりきった心拍数と必死に戦った。
よし、やるぞ。
最高のバンドで最強のあの子を振り向かすために。