幕間 三人の勇者
タクミは転生者だ。前世では多数の友達と仲良くし絆を育んでいたが、ある日何故か同じクラスの生徒に鉈で刺されて殺された。
その後目を覚ますと、女神さま目の前に現れていた。
「貴方は私の手違いで鉈に刺されて死にました。ですので貴方には異世界に転生してもらいたいのですが……」
「もちろん、君の願いに答えよう!」
即答だった。タクミの友達は女性ばかりで、みんな自分に良くしてくれた。なので、女性の頼み事なら何でも引き受けるようになっていた。
女神は多少戸惑った表情を浮かべたが、次の説明に乗り出す。
「ありがとうございます! 貴方には直に勇者としての素質が出て来ますので、その日まで普通に生活していてください!。チートも授けますので、無事、勇者としての使命を果たして来るのです。貴方だけが頼りです!」
「分かった! 頑張るよ!」
「ここの記憶は消去されます。ですが、貴方なら記憶を失ったとしても無事に勇者の務めを果たせると思います!」
「必ず期待に応えるとも!」
こうしてタクミは勇者になる運命を背負い、転生した。
「ちょろいわね」
マコトは転生者だ。前世では普通の学生だったのだが、トラックに轢かれて死んだ。
「あなたは私の手違いでトラックに轢かれて死にました。ですので異世界に転生してもらいたいのですが……」
「いいですよ」
女神は少し戸惑ったような表情を浮かべるも、次の説明に乗り出した。
「ありがとうございます! 貴方には直に勇者としての素質が出て来ますので、その日まで普通に生活していてください!。チートも授けますので、無事、勇者としての使命を果たして来るのです。貴方だけが頼りです。……あの、もうちょっと驚いたりしません?」
「別に驚くことではないですよ。まさか死ぬとは思ってなかったですので何の反応もないだけです」
女神は驚きあきれているような表情を浮かべながら会話を進める。
「ここの記憶は消去されます。ですが、貴方なら記憶を失ったとしても無事に勇者の務めを果たせると思います!」
「少し要望を聞いてもらってもいいですか?」
「はい。どうぞ」
「自分が生き残れるだけの力をください。また死ぬのは嫌なので」
「別に構いませんよ。では行ってらっしゃい」
そう言って女神はマコトを送り出した。
「最近の人間って、あれほど感情がないものかしら」
スミレは転生者だ。前世では生徒会長をやっていた普通の高校生だ。だが、不良にタバコを吸うなと注意したことにより、いちゃもんを付けられ、ナイフで刺されて死んだ。
「あなたは私の手違いにより、ナイフで刺されて死にました。なので異世界に転生してもらいたいのですが……」
「貴方仕事を真面目にやっているのかしら! そんなんで神様なんてよくできるわね!」
女神は驚いたような表情を浮かべる。まさか怒られるとは思わなかった。
「実は、異世界で勇者になってもらいたいのですが……」
「ならもっと早くに言いなさい! じゃないと普通の人間は引き受けてくれないわよ!」
女神は目から鱗の気持ちだった。今までならこんな形でホイホイ異世界転生させれていたので、このようなパターンは初めてだった。
「今度異世界転生させるときは、もっと普通の奴を選びなさい。そして、いきなり異世界転生なんていわない。そして、即決で決めない奴を選びなさい! わかった!?」
「わ、わかりました……。それで、貴方は転生してくれるのですか?」
「私の力がいるの?」
「いや、いてくれたら沢山の人が助かるかも……」
それを聞いたスミレは目の色を変えた。
「わかったわ。引き受けてあげる」
「それはまた何でですか?」
「前世では人助けしようにも力がなかった。だから、異世界転生という機会を使って世直ししてあげる」
女神の予想とは大幅に違ったが、たまにはこういう人もいていいだろうと、納得した。
「ここの記憶は消去されます。ですが、貴方なら記憶を失ったとしても無事に勇者の務めを果たせるでしょう」
「大丈夫よ。きっと記憶を失ったあたしでも、勇者として人助けができるわ!」
「では、行ってらっしゃい」
そう言って女神はスミレを送り出した。
「勇者はもう一杯だけど、もう一人選んでみようかしら」
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