引きこもりの終わり
小学生のころ
スポーツができるだけで
モテた
中学生のころ
部活で表彰されて
モテた
高校生のころ
授業についていけなくて
グレた
何も楽しくなくて
何もやる気がなかった
ついには学校に行かなくなった
家に閉じこもって
自分に閉じこもった
「あのころは良かったな」と
テレビのジジイどもが
いいやがる
「今の若い奴らは」と
恥ずかしげもなく
いいやがる
大学生のころ
いやそんなものは
ない
社会人のころ
ああもちろんそれも
ない
ニュースを見た俺
驚くことが
あった
テレビに映る選手は
むかし戦った相手
そいつはとても活き活きと笑う
驚きはモヤモヤに
モヤモヤは決心に
「近頃は便利だな」と
テレビのジジイどもが
言っている
「昔の若い奴らも」と
冗談交じりで
言っている
活き活きと生きる
そのために出なければ
一歩ずつでいいから
なんでもいいから
スポーツは好きだ
ならとりあえず
スポーツでもするか
「将来は安泰だ」と
テレビのじーさんらが
言ってくれる
「次の若い世代は」と
未来の話を
してくれる
いつぶりだろう
もう何年も言っていない
いいや、その分これから
大事に言うことにしよう
「行ってきます」
小学生や中学生のときは上手くいっていたのに、という感情は多くの人が持っているように思います。一度壁にぶつかってそこからすぐ立ち直れる人はそれからもなんとかなります。でもこの子のようにちょっとしたきっかけで立ち直れなくなる人もいます。そういう人は本当になんでもいいからいつもと違うことをしてみてほしい、そして周りはそれを温かく見守っていてほしい、という想いで書きました。