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自覚主人公  作者: 稲平 霜
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2章『謎』


「ねぇ、聞いてる?」

突如として聞こえた声は前からした。

「へ?」

間抜けな声を出す俺に上田はくすくすと笑う。

俺は唇を尖らせて少し拗ねたように別の所を見る。


上田は自分の仮の家に戻り、俺は1人の空間にただ寝転がっている。

天井をぼんやりと見つめる。

天井には照明があり、その照明の周りにはハエが少し飛び交っている。


いつの間にか俺は眠り落ちた。



翌朝、窓から射し込む日の光に照らされ、起きる。

今日は土曜日だ。

しかし自由に行動する事はあまり許されていない。

というよりは自由に出来る範囲が無いからだ。


まだ朝が早いからか誰も外にいない。

日はもう完全に出きっていた。


半壊した街を見ると罪悪感が押し寄せてきて、押し潰れてしまいそうだ。

半壊した街を目の前にして俺は目をぎゅっと瞑り、開けた。

すると半壊した街に人影が見えた。


「そこは危ないぞー」

俺は人影の方を向き、少し声を張り言った。

人影はいつの間にか俺を向いていて表情は分からないが、なぜか笑っているように感じた。


人影は倒れたビルの上に上がっていき、落ちた。

唐突に起きた出来事は自分では処理しきれず、立ち尽くしていた。

完全に死んだと俺は思った。

しかし突如突風が吹いた。

風に少し押され、よろける。


だんだん影が大きくなり、俺に影が覆う。

目にした光景は小学五年生位のパーカーを来た少年がケタケタと笑ながら俺の前に来る。

よく見ると足が地面から離れており、少年の髪がなびいている。


俺は目を大きく見開き問う。

「もしかして、お前か?俺を突風で突き飛ばしたのは...」

聞いた瞬間風が起こり、少年が喋り出す。

「そうだよぉ。僕は“ルイ”を救いたかっただけなのに“ルイ”は逃げないんだもん!だから死んだんだよぉ!」

「“ルイ”ってのが俺が倒したやつか?」

少年の頬に水滴が付き、叫んでいる。

俺は冷静に対応し、あの日戦った男の名前が“ルイ”という名前の男なのか聞いた。


「そうだよぉ!お前なんか死んでしまえばいいんだぁ!」

唐突に来た俺の皮膚を切り裂く突風はまだ俺にはまだ受けきれず、プレハブの家にぶつかりそうになる。

俺は地面を蹴り勢いよく上空に跳ぶ。

そこを更に突風に煽られる。


俺の体は半壊した街の瓦礫に背中から飛び込む。

ガラガラ...と瓦礫の崩れる音がする。

目を開けると少年が風を操り、俺の方向に向かってくる。

俺は右に避ける。

少年は瓦礫に勢いよく突っ込む。

瓦礫から出てくると、少年の周りに硝子や石などが浮いている。


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねねねぇ!」

だんだんと狂気に変わるその声は少年の力を増大する。


ん...?あつい...アツい...

自分の足、腕、腹には所々硝子が刺さっている。

俺は硝子を抜く。

深く刺さっていなかったからか血はそこまででず、普通に動けた。


血が滴りながら俺は避け続ける。


突如、上空から稲妻が迸る。

その下には人影があった。

その影は少年を気絶させ、背負った。

その影はこちらを向いたように感じた。

何となく口の動きが見えた。

その影は「今日は引き上げさせてもらう...」そう言ったように思えた。


俺は血を流し過ぎて意識がほんの少しだけの衝撃で飛びそうだった。

俺は何とか自分の仮の家に戻り寝転んだ。

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