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自覚主人公  作者: 稲平 霜
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友達

2章『友達』



俺は地面に倒れているリョウヤの頭を片手で持ち上げ、壁に投げ、俺は机を全て整え先生に言った。

「どこに座ればいいですか?」

俺以外の廊下にいた生徒は未だ放心状態になっている。


「1番後ろの空いてる席に座りなさい」

先生の声はどこか震えながら喋っていた。

「みんな、席についてください」

先生は続いて喋った。

俺はみんなに笑顔を見せて手招きしていた。

ゾロゾロと教室に入ってくる生徒達はさっきの盛り上がりは無く、ただ静寂な時間が過ぎていく。


しばらくして周りがガヤガヤと騒いできた。

あらゆる所で聞こえる俺の名前はあまりいい気分ではなかった。

学校のチャイムがなり、休み時間。

さらにガヤガヤとうるさくなる教室は俺の事など気にしていないようだった。


俺はクスッと微笑んで1番近くにいた男2人女3人グループに話しかけてみた。

男子の1人は髪はツンツンしていて、目はしっかり開かれていて眼力が強いようだ。

もう1人は少し天然パーマがかっていて、目は凛々しくしっかり開かれていた。

女子はロングヘアにツインテール、ショートカットなど様々な髪型の人がいた。


俺が挨拶しようとすると、女子は怯える素振りを見せる。

そして女子の前に男子が出てくる。

「おい!なんだよ!お前さ!リョウヤを倒していい気になんなよ!誰もお前と仲良くしたがるわけないだろうが!」

男子の1人が発言と同時に俺の肩を押してきた。


俺は気を抜いていたせいか床に腰をついた。

すると続けて男子は言葉を発する。

「はんっ!わざと転んで弱く見せようってか!このたぬきが!分かったらさっさと散れ!」

「そ、そうだ!お前俺たちをどうしようってんだ!」

あとから次々と雪崩の様に俺への怒りや焦りなど辛辣な言葉の数々が俺の耳に注ぎ込まれる。


俺はおもむろに立ち上がり俺を倒した男子に向かって、人差し指で指さし睨みつけ言葉を発した。

「お前は俺を敵に回したことに後悔するだろう...せいぜいお前が後悔するまで楽しみにしておくよ...」

俺は不敵に笑いながら席に着いた。


その直後俺は席でこう思っていた。

うわぁ!やっちまったぁ!

これフラグだわ!

多分あいつこれから殺されるかもしれないな...

全力で助けるか...

よし今日から監視するかな...


HRが終わり、俺は席を立とうとした時前から衝撃が走った。

俺は勢い余って椅子ごと倒れた。

俺が頭を抑えているところに俺の真上に誰かが立っているのがわかった。

「なんだ...」

と呟きながら目を開くとリョウヤだった。


「なんだよ...お前も何か言うのか?」

「違う。お前は強かった。それは本当の強さだった。今まで戦ってきた中でも1番と言っても過言ではない位にだ。お前の強さはおかしい。どうやってそこまでの力があるんだ?」

俺から疑問をぶつけたが疑問で返された。


俺は少しはぐらかすように

「どうでもいいだろ。そう言えばお前さ、なんで怒んないわけ?」

と言った。

「それは俺から挑んでおいて負けたら潔く負けを認めるのが普通だからだ」

問いに答えたリョウヤは俺が間を作ったのを気になったのか続けて言った。

「どうした?」

「お前は“まとも”みたいだな...って」


また静寂が流れていく。


夕焼けがひび割れた教室を包みこむ。

生徒はほとんど帰り俺とリョウヤしかいないと思った。

その時俺は胸の鼓動が激しく高鳴っていた。

原因は知っている。

人生初かもしれない友達と呼べる存在がてきたことに俺は嬉しかったのかもしれない。


俺が起き上がろうとするとリョウヤが手を差し伸べてきた。

俺はリョウヤの手を掴んで立ち上がった。


そして廊下をゆったりと歩きながら俺とリョウヤは並んで帰ったのだった。

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