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自覚主人公  作者: 稲平 霜
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何処

2章『何処』


体が重たい。

体が思うように動かない

細い線が俺の左腕に刺さっていて違和感がある。


その光景だけが見えていた。



目が覚めた。

白い天井が俺を出迎え、なんとなくここが病院だということに気づいた。


外は橙色一色だった。

俺は外を見ようと起き上がる。

腕には点滴が打ってある。

点滴をつるしている棒を左手で持ち、カーテンの傍に寄る。


カーテンを右手で開けようとすると、カーテンは開けにくく何度も引っ張らないと開けられないみたいだ。

俺はシャッシャッシャ...と音を立てながらカーテンを開けた。


外の景色を見ると、夕日が沈むところが見えた。

俺は沈むところをぼんやりと眺めて沈んだ頃に、カーテンを閉めた。

後ろを見るとドアの前に花束を持った青年が立っていた。

俺は首をかしげると、青年は近づいてきた。


青年は左胸のあたりにとあるブランドのエンブレムがワンポイントに刺繍されている白色の半袖Tシャツに、黒っぽいジーパンを身に着けている。

俺の前に立ち俺に向けてしゃべりだした。

「君がルイを倒したのかい?」

「....あぁ...」

俺は少し間を置き応答した。


青年はまたしゃべりだす。

「そうか...俺の名前は富 綺羅斗だ」

「俺のことを恨んでないのか?」

「どうしてそう思う?」

「俺がお前の知り合いを...」

俺が話している途中に綺羅斗は言い放った。


「あぁ...元から嚙み合ってなかったしね...」

少し寂しげに答えた綺羅斗の目の奥には本音を隠している気がした。

しかし俺は聞かないことにした。

なぜなら今聞いて戦いになっても俺に勝ち目はないし、今は知る必要がないと判断したからだ。


俺は綺羅斗から花束を贈られ、綺羅斗は帰っていった。


俺はしばらくしてベットに横になり、いつの間にか寝ていた。


目が覚めるといつも以上に輝く太陽にさらされていた。

横を見ると看護師が朝ご飯を用意していた。

そこに医師が来た。

どうやら俺に連絡があるようだった。


「あなたは今日の昼に退院できますが体調はいかがでしょうか?」

「はい。大丈夫です」

医師は俺の傍にきて体調確認をして俺の応答に安心したように頷いた。

それから医師はほかの患者にも回っていた。


俺は病院から出された食事をたいらげ、服を着替えだした。

襲われた時に着ていた服は血まみれで所々切れていたので、病院から支給された地味な服を着た。


昼になった。

俺は病院を出ると、山の上のほうにある病院だったのか被害にあった、街を一望できた。

俺は目を閉じ、風を感じ、温かさを感じて目を開いた。


俺は自分の仮の家に向けて歩き出した。


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