第977話
977
2017年8月16日午後零時44分。食事を取りながらも、いろいろ考える。昔から、頭だけは冴えていた。いろんなことを思うのだ。それは変わらない。今もそうである。実際、月井も日常では、思いが多かった。
でも、いいのである。人間など、そんなものだ。それが十分分かっていた。ある意味、終わりのないような戦いをしている。もちろん、人にとって、何事もいつか終わるのだ。延々続くことはない。それに、人間の一生など、限られている。どんな体験も、無駄にはならない。必ず結実する。
午後零時54分。食事を取り終えて、席を立ち、歩き出す。店内は蒸し暑いのだが、外も地獄だ。刑事にとって、酷な外勤が続く。いろんな意味で、無理なことが多い。平静ではいられない。何せ、直接関わっていることなのだから……。
新宿は雑多だ。いろんなものが混在する。大都会など、こんなものである。難しい事情もあった。それに、ここは何でもありなのだ。日中、強いストレスに曝される。予断を許さないのだった。いかんせん、降りかかってくることだって、たくさんあるのだし……。
ここで刑事をやっていれば、分かることだってある。それだけ、この街は特殊なのだった。ビル街などには、ビジネス関係の人間が絶えず行き来していても、いったん繁華街に出ると、ホストやキャッチなどがうろつく。現役の警察官でさえ、怖がるのだ。こういった街の事情は、どこもそう変わらないのだが……。
昔の古き良き刑事は、もういない。事件捜査などが、高度になってきている以上、専門性を試される。以前覚えたことは、残らず捨ててしまわないと、この仕事を続けられない。いろんな柵がある。また、やわな仕事じゃない。そう思えていた。それだけ、最近の犯罪事情というものは、刻一刻と変わってきつつあるのだから……。(以下次号)




