第971話
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2017年8月16日午前6時6分。食堂に着き、券売機で定食とアイスコーヒーの食券を一枚ずつ買って、カウンター越しに差し出す。そしてテーブルで待ち始めた。疲れが出始めている。刑事の仕事がきついのは、昔からだ。慣れていても、いろいろ考える。無理もしていた。かなりの程度。
ある意味、警察官をやっていて、日常ではいろいろある。実際、地獄というのもあった。事件捜査にこそ関わってないにしても、刑事など、基本が3K労働だ。何かあった時の覚悟というのはある。それがないと、この仕事は勤まらない。
午前6時26分。テーブルに食事が届いた。やっと、一息つける。空腹も、ここまで来ると、限界なのだった。手に取っていたスマホを置き、食べ始める。冷たいコーヒーは、喉越しがいい。いくら普段からきついことをこなしていても、食事時ぐらい、ゆっくりしたい。
休まることが、正直なところ、あまりない。日常的にそうだ。暇がないのである。もちろん、この仕事は縛りが多い。別に気にすることもあまりなく、淡々とこなしていく。愚痴や泣き言も大いにあって、人間が成立しているのは、痛感していることだった。決して、道が平坦なことはない。月井もそれを身をもって体験していた。別に人など、様々な試練があって、人生なのだ。考えている以上に、困難なことが多かった。それも想定済みのことなのだが……。(以下次号)




