第966話
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2017年8月15日午後7時2分。新宿の街へと入り、車のアクセルを踏み込み続ける。疲れはあった。何せ、クタクタだ。だいぶ無理している。いつものことだった。過剰な疲労は、肉体を苛む。程々にと思ってはいても、日常では、いろいろあった。常に追われ続けているのだし……。
実際、苦労など、絶えない。仕事をしていれば、いろんなトラブルなどもある。警察官としての職務は、実にきついものだ。それに、まるで際限がないような気もする。どこかで終わるものなのだろうが……。
午後7時23分。自宅マンションに着き、車を停めて、降りた。そして、部屋へと歩き出す。夏の暑さが襲ってくる。どうにかならないものか、と思う。まさに地獄だ。酷暑は、着実に体を蝕んでくる。
警視庁職員にも、いろんな人間がいるから、やりづらい面もあった。刑事など、普通は堅気の職業なのだが、悪いことをする輩だっている。身内などを、疑ってかかる側面もあった。信用問題だって、いろいろある。簡単にはいかないのだ。
午後7時27分。部屋に入り、カバンを置いて、着替え始めた。スーツは、汗だくだ。脱ぐと、アンモニアの濃い臭気が漂ってくる。シャツとジーンズを着用すると、やっと一息つけた。毎日、こんな感じで回り続けている。世の中、綺麗事など、一つとして通らないことは、十分分かっていた。生きていれば、いろいろある。それが、把握できる年齢になっているのだ。昔は、そういった世間の理不尽さも、あまり分からなかったのだけれど……。(以下次号)




