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新宿  作者: 竹仲法順
812/1001

第812話

     812

 2017年8月2日午後7時28分。自宅マンションまで車を走らせて、辿り着いた。駐車場に車を停めて、部屋へと歩き出す。辺りには熱が滞留していた。蒸し暑い。疲れていた。警察官はハードワークだ。仕事が終わって、やっと一息つける。

 夏の夜空を見上げると、今の時間帯はまだ明るい。空から真正面に視線を移し、自室へと入った。スーツを脱ぎ、着替え始める。全身汗だくだ。部屋着を着て、キッチンへと行く。材料を準備して、料理を作り始めた。毎度のように、炒め物を作る。マンネリなのだが、これでいいのだ。凝ったものは作れない。十分分かっていることだった。

 確かに、日々追われ続けている。疲労はなかなか取れない。ただ、自宅には寝に帰るだけだ。基本的には、長時間新宿の現場にいる。難しい事情もあった。ノンキャリアの警察官は、黙って上に従うしかない。それが宿命だ。日常でもかなり疲れている。もちろん、夜は休むだけなのだが……。

 午後7時49分。料理を仕上げて皿に盛りつけ、食べ始める。やはり長い時間、何も食べられないのは辛い。食事を取りながら、いろいろ考える。あの街も、今の時間帯は夜勤の警察官が多数いるのだ。特に変わったこともないのだろうが、気にしていた。刑事の一員だからである。まあ、現場に張り付いていれば、いろんなことが分かるのだし……。

 食事を取り終えて、後片付けを済ませ、風呂場へと向かった。冷水を浴びて、まず髪を洗う。ゆっくりとシャンプーした。体も洗って冷たい水で流す。汗や脂を洗い落とした。一日中外にいると、全身には相当な汚れが浮き出てくる。夏場の入浴は欠かせない。

 午後8時25分。寝室へ入り、アラームを午前4時半にセットして、枕元に置く。そして寝る前の薬を飲み、ベッドに潜り込んだ。すぐに寝付く。夜間目が覚めるだろうか?そんなことを気にしながら……。(以下次号)


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