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新宿  作者: 竹仲法順
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第8話

     8

 2017年5月18日午後8時26分。月井と今村は新宿山手署の捜査本部に戻った。班長の岸間が、

「何か分かったか?」

 と問うたので、月井が、

「ルールーのママとホステスは岡田社長殺害のヤマに関し、何かを知っていて隠蔽していると思います」

 と言った。

「隠蔽か?厄介だな。……別の班の人間たちも高木梨帆を事件の重要参考人として捜してるんだ」

「そうですか。また明日以降、いろいろ分かってくるかもしれませんね」

「ああ。今日はもう遅いから、気を付けて帰れ。明日は午前6時には帳場に集合するように」

「分かりました。お先します」

 月井が言うと、今村も「お先です」と言って帰っていく。岸間や他の幹部たちは居残っていた。フロア内は静かになる。昼間の喧騒が止んで。

 2017年5月18日午後10時50分。自宅マンションでシャワーを浴びた月井が部屋着のまま、酒を飲む。強いアルコールは容易に眠りを誘ってくれた。徐々に眠気が差す。摘みのソーセージや生ハムなどを口に放り込み、空腹を満たしてから、洗面所で歯を磨いた。午後11時過ぎにはベッドに倒れ込み、眠る。

 2017年5月19日午前4時50分。枕元のアラームで月井は目が覚めた。ベッドから起き出し、上下ともスーツに着替えて、ネクタイを結ぶ。鏡台で軽く髪を整えた後、キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲んだ。強烈な濃さのカフェインを喉奥へと流し込みながら、スマホでニュースをチェックしていく。今は手元で弄る端末でニュースを読む時代だ。月井も普段はパソコンも使うのだが、IT機器はタブレットやスマホが主流になってきつつある。

 岡田徹殺害事件のニュースは続報が出ていた。警視庁は現場に残っていた高木梨帆のDNAから、高木を事件の重要参考人として鋭意捜索中であると、報道がなされている。スマホをスーツのポケットに仕舞い込み、カバンを持ってマンションを出、車に乗り込む。早朝の新宿区内は人が少ない。おそらく午前6時を過ぎる頃が、人がスクランブルしてくる時間帯だ。

 車を新宿山手署の駐車場に停め、署の捜査本部へ出勤する。今村も午前6時には帳場に来ていた。

「おはようございます」

「ああ、おはようございます」

「今日も捜査ですよ、今村巡査部長」

「ええ、分かってます。月井巡査部長」

 互いに言い交わし合う。そして椅子に座り、他のデカたちが出勤してくるのを待った。デカ部屋には女性の捜査員もいる。強烈なデオドラントの香りが漂い、男性捜査員の付ける香水やヘアワックスの匂いなどと混じり合って辺り一帯に広がっていた。ここの捜査本部は男性が圧倒して多い。女性警察官は刑事課内で雑務などを主にこなしていた。

 2017年5月19日午前7時25分。両角一課長や他の警察幹部が来て、帳場で捜査会議が始まった。緊張感が漲る。各班共に報告事項などがあった。時々刻々と事件から時間が経つ。そして新鮮さが失われていくのだ。逸早く解決へと導きたい。皆心中ではそう思い、会議に臨んでいた。(以下次号)


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