第797話
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2017年8月1日午後4時3分。そろそろ街は賑わい出す頃だ。月井も歩きながら、ずっと繁華街を見ていた。疲れている。だが、午後5時までは踏ん張らないといけない。限界もあった。警察官も、仕事としては難しい。ただ、ある意味、割り切りもあった。いずれ内勤などに回されるだろう。その時は、今のように肉体を酷使することもない。ここ数年、心身ともにだいぶ磨り減っていた。実際、その修復は厳しい。もちろん、どうとでもなるのだろうが……。
常に時間で動く。デカは皆そうだ。個人のスケジュールを管理しながら、やっている。さすがに午前4時起きというのはきつい。月井自体、本当のところ、そう思っていた。だが、朝の情報収集のため、早く起きる必要性がある。本来なら、寝ていてもおかしくない時間帯に起き出し、スマホでいろいろ見るのだ。
確かに今の仕事は疲れる。歌舞伎町交番勤務時代とは違い、夜眠れるのだが、デイタイムは地獄のようにきつい。少しは仕事量が減らないものかと思うこともある。明らかに働き過ぎだ。その認識はあった。もちろん、業務が減ることはない。任されたことは全てこなす。
午後5時。撤収時刻となり、駐車場へと歩き出す。当たり前に時間は流れていった。いろんなことを考える。心配なこともあった。だが、今は目の前のことをやるしかない。そう思って、日々任務に就いていた。楽なことはない。当然だろう。実際、入庁以来ずっとノンキャリアの刑事として機能していて、上からの命令や指令は全て聞いてきたのだから……。こんなものかなと思う。あらゆる仕事に対して、綺麗事は全く通用しないのだし……。
午後5時8分。駐車場に着き、車に乗り込む。エンジンを掛けて、アクセルを踏み込み、走らせた。さすがに一日の仕事が終わると、一安心する。明日も同じ場所で、同じ時間に勤務なのだし……。(以下次号)




