第771話
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2017年7月30日午後1時2分。起き出して、テーブルに置いていた本を開き、また読み始める。目は酷使していた。だが、月井も無理しない。疲れたら休む。結局、自分にとって何がいいかは、分かっているのだ。ある意味、賢明なのである。昔からそうだった。降りかかってくる災難に対しても、黙って耐える。
書籍はいろんなことを教えてくれていた。今までの人生経験と、読書体験でいろんなことが分かっている。デカは体を使うことが多いのだが、決して肉体を損耗させない。それに月井にもメンタル面での苦労の対処法が身に付いていた。どうすれば、気持ちが落ち着くか?そういったことは一通り勉強済みなのだった。
午後2時12分。本を閉じて、キッチンでアイスコーヒーを一杯淹れる。飲みながら、気持ちを静めた。昔からいろんなことを経てきていて、そういったことを克服する術がすでに体得できているのだ。
新宿はいろんなものが渦巻く場所である。常に身を守る必要性があった。油断すれば、街の治安も乱れてしまう。難しい事情を感じているのだ。警察官のハウツーが通用しないケースも多々ある。特に絶えず独りで動き回っているから、危ない。月井には他の刑事との連携が出来にくいのだ。何かあった場合、無理せずに打開する方法を考えていた。
午後2時32分。コーヒーを飲み終えて、テーブルへと戻る。そして読みかけの本を開き、読み進めた。室内はエアコンを入れている。確かに蒸し暑い。7月の暑気を屋内でも十分感じてしまうぐらい、部屋の中にまで熱が入ってきていた。本を読みながら、寛ぐ。読書は頭を使うから、いい娯楽なのだ。日々立ち仕事をしていて、今日は椅子に座っている。感じることはいろいろあったにしても……。(以下次号)




