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新宿  作者: 竹仲法順
706/1001

第706話

     706

 2017年7月25日午前10時1分。新宿の街は蒸し暑い。連日、夏日が続いていた。月井も目抜き通りを歩きながら、辺りを見張る。絶えず疲労があった。だが、仕事は続く。この街も巨大で、全部の場所の治安を守ることは、ほぼ不可能だ。昔から問題が多かった。いろいろと。それに最近、月井も歌舞伎町交番勤務時代のことを頻繁に思い起こす。きっと脳が老化しているのだろう。

 ただ、基本的にやっていることは変わらなかった。普通に街を守り続ける。それは変化のないことだ。歌舞伎町や百人町など、新宿各所はどこも規模が大きい。大変なことである。街を守っていくのは。

 通りの自販機でアイスコーヒーを一缶買う。飲んで水分を取らないと、脱水症状になってしまう。月井も十分気を付けていた。夏場はペットボトルを必ず持ち歩く。都心は気温が急上昇して、危険だった。歩きながら、時折水分補給する。夏場は当然のように続く好天が、肉体にとっては深刻なダメージとなるのだ。

 歩きながら、無線の電波を拾う。かなりの程度、飛び交っていた。月井もデカになってすぐ、いろんな講習や実習などを受けて、着任している。一通り知っていた。どんなことも知ってないといけないわけじゃないのだが、警察官として、必要な知識は身に付いている。

 午前11時3分。辺りが地獄のように暑くなってきている。お昼が近くなると、自ずと空腹を覚えてしまうのだ。生理的なものだから、仕方ない。今日は何を食べようか?デカとして長時間拘束されているのだし、食事ぐらい、好きなものを食べたい。当たり前に抱く感情だった。普段からしっかり頑張っているのだから……。(以下次号)


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