第664話
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2017年7月22日午後4時11分。もうすぐ、新宿での一日の勤務が終わりだ。月井も疲れていた。ずっとこの街に張り付き続けている。ノイローゼは絶えない。メンタル面では不調が続く。
繁華街は夕方からネオンが灯り、電飾看板が回り出す。この光景は数えきれないほど見てきた。実際、歌舞伎町交番にいた頃も毎日目にしていたのだし、ここ最近も見ている。悪の街の夜がまた訪れるのを感じていた。辺りにはマルBやホストなどがたくさんいて、一際物騒だ。だが、直に撤収である。
昔、街の居酒屋でバイトしていた頃、夜はとてもきつかった。それに基本的に食べられなかったのである。賄いでやっと形ばかりの食事が出て、空腹を凌いでいた。あの頃は何でも食べていたのだ。なりふり構わずに。
他人が何を言おうが、関係ない。月井もそういった感情を抱きながら、日常を送っている。実際、誰とも組まない。デカは本当なら、相方が必要なのだ。単独行動は危険である。それは十分過ぎるぐらい十分に分かっていた。
独りで動くことをし始めて長い。だが、別に慣れれば何ともない。確かに身の危険はあった。一課の刑事でも、暴漢などが刃物や銃器などを持って向かってくれば危ない。気を付けるのはそこの点だった。言わずもがなで、新宿は危険地帯なのだし……。
午後5時を回り、街を後にする。駐車場へと向かった。辺りは騒然としている。活況とは違い、あまりいい雰囲気じゃない。だが、別に気にしてなかった。月井にとっても、慣れたことなのだから……。(以下次号)




