第660話
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2017年7月22日午前8時51分。オフィス街のビル群に、スーツ姿のサラリーマンなどが吸い込まれていく。数えきれないほど、見てきた光景だ。新宿は巨大都市である。月井もこの街にいて、常にいろんなことに巻き込まれていた。もちろん、警官同士、無線などで連絡を取り合う。別に差して変わらなかった。トラブルもある。当たり前のことなのだが……。
落ち着かなさはあった。ここが常に浮き足立つ場所だからだ。ただ、長年張り付いていて、街の様子にそう戸惑うことはない。犯罪などは常にある。警察官にとって、繁華街やオフィス街の治安を守るのは大変なことだった。
午前9時26分。街を歩く。辺りは蒸し暑い。7月の東京は熱地獄だ。ペットボトルの水を時折呷る。疲れていた。ゆっくり休みたいと思うこともある。刑事は基本的に食事休憩時ぐらいしか、休むことは出来ない。他のデカたちは絶えず見張っている。本来なら、ぶっ通しで勤務するんじゃなくて、ゆっくりする時間が欲しかった。
午前10時1分。少し立ち止まり、休憩を取る。さすがにきつい。昔、歌舞伎町交番にいた頃は暇がなかった。実際、あの当時、月井がしてきた仕事は膨大なものだったのである。夜は休まらず、昼間は立番するか、交番内に詰めていた。旧型のパソコンを使って、大量の資料などを作っていたのを思い出す。20年前のことは、一昔前の出来事だ。時効案件のようなものである。
午前10時11分。また歩き出す。疲れは体の芯にだいぶ溜まっていた。しっかりと歩く。絶えず前を見据えながら……。(以下次号)




