第632話
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2017年7月20日午前6時12分。新宿の街を走行する。乗っている車は古いのだが、街に出れば、絶えず新しいものに接するのだ。何かと疲れていた。神経がやられている。不調は続いていた。ただ、いずれ南雲の病院には行くつもりでいる。あの精神科医もいろいろと患者を診ているから、月井の状態も分かるだろう。心の奥底ではそう思っていた。
午前6時36分。千代田にある本部庁舎が見えてくる。駐車スペースに入って車を停め、建物へと歩き出す。早朝からの出勤には慣れていた。夏の朝は都内も暑い。昼間になると、サウナにいるように蒸す。警視庁の警察官はスーツか制服だ。一課の女性刑事など、上下ともパンツスーツ姿のデカが多い。
午前6時41分。食堂へ行き、定食とアイスコーヒーの食券を一枚ずつ買って、カウンター越しに差し出した。そしてスマホをネットに繋ぎ、見ながら、ネットニュースを読む。いろんな報道があるのだが、概してマスコミは反権力的である。気を付けて見ないと、とんでもないことになるのだ。
昔からいろんな節約術があった。警察学校時代はバイト先の賄いの食事をメインに据えていたのだし、今だって食の節約はある。それに電気代なども、削れるものは削っていた。大げさかもしれないが、月井にとって、生活というのは命懸けだ。自宅の家電も、エコ機能があるものを使っている。
このまま、結婚などをしないで過ごすのも人生だろう。仕事が忙しくて、職場などでも出会いがなく、今まで来ていた。ただ、家庭を持つとなると、面倒だと思う。ある意味、自分のライフスタイルを崩すことなく、過ごすのがいい。デカは仕事に専心している人間が多い。いつしかそっちの方がいいと思っていた。シングル生活を謳歌するという方向で……。
午前6時55分。ようやく食事が届き、食べ始める。午前7時半からの会議に間に合うよう、急ぐ。アイスコーヒーを飲みながら、食事を取った。15分程度で食べ終え、午前7時10分過ぎには食堂を出る。何とか間に合いそうだ。急ぎ足で一課へ向かう。廊下で多数のデカたちとすれ違いながらも……。(以下次号)




