第622話
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2017年7月19日午前11時25分。もうすぐお昼だ。午前11時台は自ずと空腹を覚える。歌舞伎町に並ぶ食事処はどこも混んでいた。だが、別にいいのだ。もし、まともな店に入れなかったとしても、立ち食い蕎麦屋などで十分食事が出来るのだし……。疲れはあった。絶えず労苦があるからだ。少しでもゆっくり出来る時間が欲しい。
新宿は各種店舗が居並ぶ。砂漠のように、希薄な街だ。月井も彷徨うようなことがあった。この場所において。ただ、刑事としての自覚は失ってない。絶えず職務をこなす。丸一日勤務すれば、夜間は休むだけなのだし……。
街は回り続ける。いろんな思惑が絡み合って。暴力団関係者は闇で動く。あの連中は強請り集りで暮らすから、ノミみたいなあくどい連中らだ。常にそう思っていた。警察も厄介なことを引き受けざるを得ない。大変だった。四六時中、その手の輩と接せざるを得ないのだし……。
昼になり、近くの定食屋へと入る。店内は一際混雑していた。何とか席に座り、食事をオーダーして、スマホを取り出す。ネットに繋ぎ、ニュースを見始めた。やっと一息つける。そう思い、手元でニュースを読み続けた。実際、警察官は大変なのだ。月井自体、ノンキャリアなのだし、日々いろんなことに遭遇する。単調なようでも、実際クタクタに疲れ切ってしまう。感じることはたくさんあった。無理をすることも多々あったのだし……。(以下次号)




