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新宿  作者: 竹仲法順
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第619話

     619

 2017年7月19日午前7時25分。一課のフロアに着き、自分のデスクに座る。そしてパソコンを立ち上げ、ネットに繋いで、最新の情報を見た。食事を食べ残してきたので、幾分空腹感がある。昼まで持つか?そんなことを考えていた。

 社会情勢は常に変わる。ニュースはずっと見ていた。刑事も大変なのである。月井はノンキャリアなのだし、基本的にはきつい仕事も任されていた。暇がない。もちろん休憩は取れても、わずかな時間だ。職務に追われることが続く。

 午前7時半になり、会議室で、点呼を兼ねた朝の会議が始まった。タブレットを持って参加する。配布された紙の資料に目を通し、会議の記録を録るため、端末のキーを叩き続けた。警察は内部で情報が統制されている。持ち出し不可の代物もあった。秘密案件というヤツだ。厳重に取り扱われている。

 月井も難しい事情を感じ取っていた。一課では、毎日いろんなヤマが処理される。右から左に。元々課内にあまりいないにしても、ネットと個別のIDなど、個人情報さえあれば、警察内の事情は見放題だ。警視庁サイバー犯罪対策課の関係者も日々動き続けている。デカの都合はデカで処理する。それが本庁の、いや、日本の警察のやり方そのものだ。

 考えてみれば、岡田徹・高木梨帆連続殺害事件も、志村浩が起訴されたことで、捜査は事実上終了していた。他のデカたちは何も言わない。志村が一刑事被告人として、裁判開始まで、シャバで泳がされている可能性だってある。もちろん、今現在でも勾留中なら安心できるのだが、殺人犯を放置するなど、およそとんでもない。その辺りの事情はよく分からないままだ。日本の警察組織には手抜かりの類もある。いろいろと考えていた。考えれば考えるほど、頭の中はパニックになるのだが……。

 午前8時の会議終了と同時に、席を立って歩き出す。今から新宿での勤務だ。外は暑い。また疲労が滲むのだろうが……。(以下次号)


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