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新宿  作者: 竹仲法順
583/1001

第583話

     583

 2017年7月16日午前8時56分。新宿駅方向から、通勤客の長蛇の列が出来る。月井も歩きながら、それを見守った。オフィスビルでは営業が始まる。新宿もビジネス街と繁華街が分かれて出来ていた。月井たち警備の警官は、各々配置に付く。

 警察学校を出てから、ずっと働き詰めだった。現在は階級が巡査部長で、昇任試験を受けてないから、上がらないのだが、しばらくはこのままで行くつもりだ。休みというものが取れなくて、絶えず仕事をしている。長時間労働が続き、きつい。新宿は街自体が広いから、見張りとなると苦戦する。

 午前9時36分。歌舞伎町を歩く。前夜の余波があった。通りにはスーツ姿のマルBが数名いて、屯している。この街は、警察と暴力団の対立・抗争で動いていた。ほとんどの店舗が暴力団組事務所に金を上納し、代わりにヤツらが守っている。警察が下手に手を出すと、まずい。その構図は、日本中どこの盛り場でも抜けきらない。昔から続くものとして。

 警察学校時代から、ここにはバイトで行き来していた。いろんなものを見てきている。この20年間ほどの新宿の生き証人は、まさに月井だった。警察学校の学生として、そして一刑事として……。どれだけのものを見せられただろう?およそ数えきれない。

 学校の時、座学や実習などでいろいろと教え込まれたのだが、当時学んだことと、今使っている知識は一致しない。当たり前といえば、当たり前だろう。時代によって、情勢が変わってくるからだ。例えばITなど、20年前はないに等しかった。今使っているスキルは、ほとんどが最近覚えたことだ。時代が変わるにつれて、何もかも変わる。刑事たちは常に変化していく。もちろん、月井だって、絶えず学ばないといけなかった。いろいろと変わっていくのだから……。

 午前10時15分。アイスの缶コーヒーを一缶買い、ビルの木陰で休む。カフェインを補給しながら、休憩だ。休まないと、身が持たない。暑気とストレスで疲れ切ってしまって。(以下次号)


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