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新宿  作者: 竹仲法順
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第557話

     557

 2017年7月14日午前6時59分。朝食を食べ終えて、アイスコーヒーを全部啜った後、席を立ち、食器類を返す。そして一課へと歩き出した。会議があっても形式だけで、ほとんど意味がないことは重々承知だ。一課の刑事は各々水面下で動いている。酷な仕事だと思う。だが、決して無意味なわけじゃない。現に犯罪者の検挙は着実に行われている。

 午前7時9分。一課に着き、デスクに座って、パソコンを立ち上げた。データベース入り口でパスワードを入力して、エンターキーを押す。画面が切り替わり、いろいろな警察の内部情報が溢れ返る場へと辿り着いた。普段から、このサイトは眉唾だと思っているのだが……。

 警視庁全職員が個別のIDとパスワードを付与されていて、入力さえすれば、いつでも閲覧できる。こういったことは犯罪に繋がりかねないのだが、警察上層部はあえて容認していた。月井も可能な限り見ている。一警察官として。

 もちろん、中の情報が全て正しいわけじゃない。ガセの類もある。いや、ガセだらけだ。正当な根拠のないような代物が圧倒して多かった。いろいろと複雑に感じる。フェイクの類を垂れ流して、面白がる人間もいるのだから……。画面をスクロールさせていき、時折止まって見ながら、思うことも多々あった。

 ただ、警察の内部情報は、常に入れ替わっていく。絶えず循環があった。そう思うと、目の前のこの情報源は、決して全てが正しいわけじゃないと感じる。警察もいろんな事情を抱え込んでいた。まさにその状態を象徴するのが、この手のサイトだ。まるで暗い闇の中にいるようで、深い藪にいるように抜け道がない。

 午前7時半になり、会議室で会議が始まった。一課の刑事たちが集まる。タブレットを持って参加した。配布された紙の資料を読み、端末で記録を録り始める。まさに一日の仕事が始まるから、気を抜けない。キーを叩き続けた。腱鞘炎がひどいのだが、何とか踏ん張る。疲れたなどと言っていられないのが、警官という人種だ。常にそう思う。会議は相変わらず点呼の延長で、傍から見ても、あまり重要な意味はないのだが……。(以下次号)


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