表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新宿  作者: 竹仲法順
524/1001

第524話

     524

 2017年7月10日午後3時11分。街の通りの自販機でアイスの缶コーヒーを一缶買い、プルトップを捻り開けて飲む。疲労が滲んだ。ビルの死角に当たる木陰で休憩を取る。しばらく休んでいた。確かに昔からこの街にいて、いろんなことを見てきている。いろんな試練があり、今に至っていた。交番勤務時代も、飲み屋の暖簾をくぐる代わり、午前零時過ぎに夜食のカップラーメンを啜って、徒歩で街を見て回ったことがある。拳銃や警棒を携帯し、臨んでいた。

 当時、警視庁にはいろんな凶悪事件があったのを思い起こす。90年代末に、この街の中央部では、カルト団体が幅を利かせていた。公安の刑事と手を組み、捜査に行ったのを思い出す。別に大して気にも留めてなかった。どうせ在日外国人が主導しているからだ。日本にあるカルトはほとんどがそういった出自の人間たちによって運営されている。危険なのだが、実際、そういった悪は今になってネット上などで散々バッシングされていた。

 警視庁公安部も新宿に捜査拠点を持っている。一昔前からある既成事実だ。月井が在日外国人を危険視するのは、そういった連中がここ日本で犯罪を犯す傾向があるからである。厄介だった。どこからが取り締まりで、どこまでが許されるのか?常に思うことである。交番にいた頃は、そういったことを考え続けていた。あの頃は20代で若かったから、警察官としても無理が利いたのである。今は40を超えて、そうもいかないのだが……。

 午後4時1分。休憩から通常の勤務へ戻り、スーツ下に汗が滲む。疲れが溜まっていた。だが、変わった素振りもなく、淡々とこなす。あちこちにマルBやホストがいた。街は夜へと動いている。まあ、別に夜間の新宿など、今はもう用がない。夜遊びする元気もないのだ。体を動かすのは苦にならないのだが、万年日勤で、夜勤をやったりすることはないのだし、夜は眠る時間である。もうすぐ撤収で、終われば千代田の本部庁舎の一課に戻ることになる。明日は病院に行くから、一日仕事を休む。ずっと働いているから、合間の一日ぐらい、いいのだ。格好の骨休めだと思って……。(以下次号)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ