第251話
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2017年6月12日午後6時55分。月井は新宿山手署から車を出し、自宅マンションに向けて走らせ続ける。途中でいくつもの交差点を超えて、都心から離れ、区内でもマンション街の方へと向かう。確かに夜になると、きつい。体は動かないのだ。明日も朝の早い時間帯から警察署へ向かわなければならない。
別に警官としての仕事に嫌気が差すわけじゃない。だが、月井にも不満の類はあった。本来なら、警視庁捜査一課の刑事として、もっとシャープな仕事があるだろうに、所轄の手伝いだ。何かと厭戦気分はある。連日同じようなことが続いていて……。
自宅マンションに帰り着いたのは、午後7時20分だった。車を降りて、部屋へと歩き出す。扉に鍵を差し込み、開錠して室内へ入った。そして荷物をリビングのテーブルに置き、スマホとタブレットを充電器に差し込んで、冷蔵庫から缶ビールを一缶取り出す。プルトップを捻り開けて飲みながら、摘みを食べて、寛ぐ。汗だくのシャツを脱ぎ、部屋着に着替えた。ゆっくりする。夏の夜は何かと蒸し暑い。アルコールを含みながらも、徐々に眠気が差してきた。
午後8時25分。ビールを二缶空け、キッチンで〆のラーメンを作って食べた。夜たくさん食べてしまう。朝はコーヒー一杯で済ませるのだし、昼間まともに栄養を取れなくて夜間ガツガツ食べる。悪い癖なのだが、それが続いていた。それに睡眠時間が短いから、昼は仕事中でも、極度に眠くなることがある。
午後8時55分。バスルームでシャワーを浴び、髪や体を洗ってから、タオルで拭いた。そして眠る準備をする。明日も早い。午前3時にアラームをセットし、薄着になって寝室のベッドに入った。眠くなり、すぐに寝付く。
気が付くと、枕元でアラームが鳴っていた。あっという間に眠る時間が終わり、また活動時間へと入る。6月13日は来ていた。キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲みながら、スマホでニュースをチェックする。蒸し暑い。洗面し、上下ともスーツを着て、カバンを持つ。午前3時50分には部屋を出た。慌てずにしっかりと恰好を整えてから……。(以下次号)




