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新宿  作者: 竹仲法順
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第2話

     2

 2017年5月17日午後4時。新宿山手署の刑事課脇のフロアに捜査本部が立ち上げられ、デカたちが集まる。捜査会議の席上で、署副署長の新井が捜査本部を取り仕切ることが決まった。捜査一課長の両角(もろずみ)がスーツ姿で来ていて、新井や他の幹部が会議を進める。月井はずっと帳場で話を聞いていた。

 マル害の岡田は後頭部を鈍器で殴られていて、即死している。争った形跡はなく、背後から殴打され、すぐに絶命したようだった。鑑識が現場に残っていた、ホシのものと思われるDNAを鑑定中のようだ。今は科学捜査が進んでいるから、すぐにマル被が割れるだろう。

 捜査会議が終わり、班割りがあって、月井は今村や門倉と一緒の班になった。そして班長の岸間警部から、

「月井君は今村巡査部長と一緒に外回りやって」

 と言われる。月井が頷き、今村に、

「よろしくお願いします」

 と言った。「ああ、よろしく頼みますよ」という新たな相方の一言を聞き、月井が捜査本部を出て、歩いていく。

「月井巡査部長、今からどこ行きます?」

「しばらく街を歩いて見回りましょう。私は普段、ここ新宿区が担当なので」

「ええ。……でも、得られるものがありますか?」

「それは分かりません。ですが、害者が殺害されたのには何かしらの原因があるはずですから、それを探りましょう。外回りも大事な仕事ですから」

 月井が一言言って踵を返し、歩いていく。今村も追って付いていった。互いに巡査部長同士で、階級が同じだから、遠慮が要らない。もちろん、捜査一課と所轄の刑事課のデカじゃ、やっている仕事はまるで違う。いつも月井は睡眠時間4時間程度の激務をこなしていた。

 午後8時を回った頃の新宿は混雑していて、酒場や盛り場などは大勢の客で賑わっている。月井は街を歩きながら、鋭い目つきで通りすがる人間を見ていた。デカの勘は働くのだろう。見られている誰もが率直にそう感じるほど、月井の目は炯炯としていた。

 繁華街の真ん中は歩行者天国になっていて、皆歩く。月井と今村も押されるようにして歩き続けた。時間は流れていく。月明かりが、煌々と絶えず照らしながらも……。(以下次号)


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