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新宿  作者: 竹仲法順
144/1001

第144話

     144

 2017年6月2日午後3時1分。月井も今村も手元の端末で作業を続ける。キーを叩きながら、事件捜査に関する情報を入手していた。記録を録りながら思う。デカの仕事も大変だと。互いに暇なく動いていた。合間に水分補給しながら、作業する。疲労の類はあった。スーツの下は汗だくなのだし……。

 午後3時25分。今村がいったん席を立ち、フロア隅にあるコーヒーメーカーでコーヒーを淹れて飲む。相方も喉が渇くのだろう。月井にも分かる気がした。クーラーが利いていても、蒸し暑い。6月の東京は街が絶えず熱を帯びている。

 午後の時間、署内は静かだ。刑事課の人間たちが警視庁捜査一課のデカと組み、岡田徹・高木梨帆連続殺害事件の捜査に出ていて、通称〝生安〟の生活安全課や、未だに女性天国である交通課など、別部隊の職員たちはほとんどが署内に待機中である。月井たち刑事もずっと外ばかりじゃなくて、稀に内勤があり、捜査本部に詰めることがあった。警察官も刑事ドラマやミステリー小説のようにはいかない。

 午後4時15分。本部内に一部の捜査員が戻ってきた。そして事実関係の整理などのため、パソコンに向かう。普段から同じ捜査本部にいても、月井たち岸間班と他班のデカの交流はほとんどない。それに警察官はほとんどがチームで動く。最近の若手の捜査員は余計なことを念頭に置かずに、単に捜査マシーンのようにホシを挙げ続けるのが、特徴のようだ。

 だが、月井にも今村にも感情や感覚はある。何も考えないとか、感じないことはまずない。そもそも、新宿で働く刑事にもいろいろと悩みはあるのだ。ここは欲望の街であり、眠らぬ繁華街が犇めいている。そこを管轄するデカも個人的感情まであって、一人の人間だ。それはずっと変わらない。月井も新宿の街に通いながら、心の奥底ではそう思っていた。

 午後4時50分。夕方の捜査会議を約1時間後に控え、デカたちは必死になる。この所轄もいい雰囲気で回っていた。相変わらずの感じで……。(以下次号)


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