表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新宿  作者: 竹仲法順
114/1001

第114話

     114

 2017年5月31日午前9時55分。月井たち捜査員は無線などで応答し合う。事態が収まると、また平常の見張りへ戻った。新宿の街は混雑している。街には無数に人がいた。特に繁華街の方は出歩く人間が多く、一種の洪水状態である。

 午前10時を回っても、相変わらず人通りは多い。捜査員はほとんどがスーツ姿で、私服警官は皆無だった。月井も今村も上下ともスーツを着こなしていて、いかにも堅気の人間という格好である。道路を歩きながら、時折無線が鳴るのを聞く。

 ずっと夏の暑さが続き、参っていた。東京は蒸し暑い。特に首都中枢部は温暖化などの影響があり、気温が上がっている。月井たちも汗を掻きながら、街を見張っていた。単純な巡回も、決して意味のないことじゃないのだ。警察官は常に人の多い場所に潜入などをしているのだし、月井はそういった経験が豊富だから、慣れていた。

 日差しに照らされながら、街を行く。ビルなどの出入り口には小さな庇が付いていて、そこで少しだけ涼むこともある。熱中症に気を付けようと思っていた。ひどく熱にやられているからだ。

「堀田班関係者は加納猛の身柄を追ってるみたいですから、我々も仕事をこなしましょう」

「ええ」

 月井の一言に今村が頷き、またざわついていた心が平常心へ戻る。互いに体はきつかった。だが、どうにもならないことだ。正午前まで粘り、食事時に水分補給もするつもりでいた。確かに酷暑は人間から体力や気力を着実に奪ってしまうのだが……。

 午前10時32分。月井たちは繁華街にある大型ビルの木陰から、じっと街を見ていた。こういった地味な仕事自体、警察官でも黒子のような存在の人間がやるような代物なのだけれど……。(以下次号)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ