表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新宿  作者: 竹仲法順
10/1001

第10話

     10

 2017年5月19日午前11時22分。月井と今村は新宿の繁華街一角にあるコーヒーショップでコーヒーを飲みながら、軽く休憩を取った。値段が手頃なランチセットを頼み、食べながら事件を整理する。倦怠はあった。それに上下ともスーツを着ていると暑くてたまらない。

 ランチセットに付いていたハンバーガーを齧りながら、コーヒーを飲む。同じものを頼んでいて、旺盛に食べながら空腹を満たす。何せデカはきつい仕事だ。寝不足は続くのだし、疲れてしまっていた。

「月井巡査部長は岡田社長殺害は高木の犯行ではないと?」

「ええ、その可能性大ですね。……あんな図体のデカい男性を、ホステスが殴って殺せるわけがありません。きっと偽装の一環でしょう。第三者がいます。事件に関わっていると目される人間が必ず」

「でも、目立った指紋や掌紋、毛髪などは現時点で出てませんからね」

「鑑識も徹底して現場を当たるでしょう。事件当日の犯行時間帯にあの部屋にいたのは、岡田社長と高木梨帆、そして害者を殺害した人間です」

「面倒なことになってきましたね」

 今村がそう言い、軽く息をつく。そして冷めきり、湯気の出てないブラックのコーヒーを啜った。月井がハンバーガーを食べ終え、コーヒーを一口飲んだ後、チキンナゲットを摘まむ。今村もセットにある食事を口にした。

「とにかく根気よくやりましょう。……新宿の街は闇夜でまるで謎だらけです。事件もいろいろありますし」

「そうですね。……それに殺人に公訴時効はないですしね」

 月井の言葉に今村が頷く。ホットコーヒーも時が経ち、すっかり冷めてしまう。月井は店の中を見渡した。店は歌舞伎町の一角にあり、この時間帯は混雑している。刑事が休憩を取る類の場所じゃない。だが、月井も今村も十分休養が取れていた。

 岡田を殺害した第三者を高木が知っている可能性が高い。だが、その参考人が行方を晦ませている。事件発生時、現場にいた複数人が偽装工作に関与していてもおかしくはない。それを今から警察が調べる。まだ発生から日が浅く、物証等も薄れていないだろう。月井も今村もそう思っていた。

 2017年5月19日正午過ぎ。月井たちは食事と休憩を取り終えて店を出、歩き出す。これからまた、しばらく外回りだ。新宿山手署の捜査員も街にいて、探っていると思う。事件発生時、現場にいた高木梨帆以外の人間を。デカは切り替えが早い。刑事事件は次々と新たな局面を迎えるのだから……。(以下次号)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ