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彼女に安らかな眠りを  作者: あきのり
4/11

始まり

初めて沙田さんに会ってから、半年がたった。もうすっかり冬だ。

遊園地に行った後にも、2週間に1回ほどのペースで四人で食事に行ったりした。大学で会えば話をするようになった。夏には海に行こうって話もあったけど僕が泳げないのを知っている園崎が気を遣ってくれたみたいで、四人で水族館に行った。昨日の金曜日もまた四人で食事に行ってきた。

もう今になってはしっかり自覚している。

僕は沙田 希さんが好きだと…。

勿論園崎も気づいていて、最近では二人っきりのデートに誘えとしつこく言ってくる。昨日もそうだった。誘い文句が無いわけでもないのだが、自分に自信が持てない。

昨日の食事の時に、つい最近公開されたばかりで原作が小説の恋愛映画の話をしたのだ。その映画を見に行こうと誘うこともできると言えばできるのだ。

でも、誘っても嫌だと思われないか不安なのだ。

考えれば考えるほど不安になるので携帯でお笑いの動画を見ることにした。数分たって電話がかかってきた。園崎だ。

きっとまた沙田さんをデートに誘えと言ってくるのだろうな。と思って電話に出ると、案の定その話だった。

「別に誘う理由が無いわけではないんだが、嫌がられたりしないか不安で。」

「不安とかいってないで、まずは誘ってみろよ。好きならつべこべ言う前に行動に移せ、でないとなにも始まらないぜ?それに、上手くことが運ぶように考えろ。人間は自信があるときの方が上手くいきやすいらしいしな。」

園崎にそういわれてやっと、誘ってみようかと思いだした。本当は背中を押してほしかったのかもしれない。

「分かった。誘ってみるよ。」

「よし!じゃあ、返事が来たら教えてくれよ!」

「あぁ。」純粋に楽しんでるだけなのか疑問に思ったが、もう既に緊張しまくってそんなことはどうでもいいと思った。


昨日話していた映画を、日曜日に見に行きませんか?というメールを送ってから10分がたった。すごく長く感じる。もう既に読んでいて断りかたを考えているのだろうか。一秒一秒時間が過ぎていくにつれその不安が大きくなっている。そのとき、園崎の言葉を思い出した。

きっといい返事が帰ってくると、自信をもって待とう。

そう思い始めたときメールが来たことを告げる音が鳴った。

すぐに携帯に飛び付いてメールを開ける。

ごめんなさい。日曜日は友達と出掛ける用事があって

やっぱり駄目か。不安のせいか、文は続いているのに一瞬で頭が断られたと判断してしまう。絶望しながら続きを読むと

でも、明日なら大丈夫ですよ!園崎さんは誘ったんですか?誘ったのなら沙良にも興味あるか聞きますけど(笑)

嬉しさがこみ上げてくる。

園崎に返信の内容を簡単にメールで送るとすぐに返信が返ってきた。

よかったな!二人でいきたいってちゃんと言えよ!俺は用事があるからってことにしといていいからよ。明日楽しんでこいよ!

分かった!ありがとう!

と返信をして、すぐに沙田さんにも返信をする。

園崎は、明日用事があるらしいんだ…。だから、二人で行きませんか?

今回は送ってすぐに返信が返ってきた。

了解しました!何時に、何処集合にしますか?

思わずガッツポーズがでる。初めて女性と二人きりで映画を見に行く約束を取りつけられそうなのだから。

僕も楽しみです!そうですね、2時からの上映があるので11時にショッピングモールの本屋で待ち合わせしてお昼を食べませんか?

このあたりでは映画館はひとつだけショッピングモールの中しかない。11時にしたのは丁度食事もできるしいいと思ったからだ。

了解しました!では、明日の11時に!

もう興奮が押さえられなくて、園崎に電話をかけてしまった。

「明日の11時に約束できたぞ!」

「良かったな!やっとお前にも彼女ができるかもな!ちゃんと上映時間調べて、席が埋まらないうちにチケット買っとけよ。お前クレジットカードないからネットで予約できないだろ」

「それぐらい分かってるよ!じゃあ俺は当分寝付けないだろうから今からもう布団に入っておくわ。」

もうどうすればこの興奮を止められるのか分からない。だから早めに横になっておく方がいいだろうと思ったのだ。

「おう、まぁそれがいいだろう。俺もそろそろ行動起こさないといけないな。」

園崎が自分に言い聞かせるようにボソッと呟いた。

「そのときは何か出来ることがあれば手を貸すぜ!」

「ありがとな。じゃあ、ちゃんと明日の予定たてて寝ろよ。おやすみ。」

「あぁ、おやすみ。」

そういって電話を切った。その後はすぐに歯磨きをして布団に潜ったが、やはりしばらくは眠れなかった。

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