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彼女に安らかな眠りを  作者: あきのり
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第一章 出逢い

僕が大学に進学し、独り暮らしを始めてから3か月後の頃だ。ある日、午後の講義が終わり帰ろうとしていると、親友である園崎 武から頼み事があると声をかけられた。園崎とは小学生からの付き合いだ。身長が高く強面だが、とても優しく気遣いのできるいい奴だ。どんな頼み事か気になって聞いてみると、園崎は

「これから、最近友達になった女の子と食事に行くんだけど、2人では恥ずかしいから一緒に来てくれないか?」

と、少し照れくさそうに言った。

僕は、まさか女性のことについて相談されるとは、頭の片隅にもなかったから、どう反応すればいいか戸惑った。

すると、園崎は

「勿論向こうも1人友達を連れて来てくれるから。行くよな?」

と、当たり前だろ?とでもいいたげな顔で聞いてきた。

もともと知らない人と接するのが苦手な僕は、正直あまり乗り気にはなれなかった。

すると彼は僕があまり乗り気でないのを悟ったらしく、頼む!と手を合わせて頼んでくる。ここまで頼まれると断りにくいし、普段仲良くしてもらってるお礼にと思ったので仕方なく頷いた。

そして、僕達は園崎が約束してあると言うレストランに向かって歩きだした。


「その友達はどんな女性なの?」

と道中に園崎に聞いてみた。

「名前は鷹山 紗良って言って、髪は茶髪でロング、しかもめちゃくちゃかわいいくて、優しいんだよ。」

と少しにやけながら園崎は答えた。

「そんなに褒めるってことは、その人の事が好きなんだな。」

「いきなりだな。」と苦笑いしつつも顔は赤く染まってる。

案外まんざらでもなさそうだ。

まぁ、そのうち分かるだろうとこれ以上は質問しないでやった。

その後歩いていると園崎の携帯に先についているというメールがきた。足早になった園崎についていくと数分で看板に「イタリアン」と大きくかかれたレストランについた。女性がみると、お洒落~といいそうなレトロな外見をしている。

手動のドアを開けると、今では自動ドアが多くなってあまり見なくなったドアベルが、チリンチリンとなって、僕たちを出迎えた。

そして、その音を聞いた店員が足早に近づいてきて僕たちに、いらっしゃいませ。何名様ですか。と愛想のよい笑顔を浮かべて聞いてきた。

「友達が先に来ているので大丈夫ですよ。」

と園崎が言うと、わかりました。とまた笑顔を見せて店の奥へと行ってしまった。

店内を見回すと、なぜかテーブル席で並んで座っている不自然な女性二人組が気になった。その二人組の女性の一人が入り口にいる僕達を見て、笑顔で手を振ってきた。

すると、園崎がその女性に向かって軽く手を挙げた。彼女が園崎が言っていた鷹山 紗良という女性だなと思いながら園崎に続いて、彼女達と向かい合って座った。

園崎と向かい合って奥側の席に座っている女性がすぐに鷹山沙良だと分かった。なぜなら、園崎がいっていた茶髪でロングなのは彼女の方だからだ。もう一人の僕の前に座っている女性は黒髪のショーットカットだが、顔は恥ずかしいのか下を向いていてよく分からない。

座ってすぐに、先ほどの定員が後から来た僕達の水を持ってきてくれた。店員がごゆっくりどうぞ。と言って、去っていったところで、鷹山沙良が、

「初めまして!ここにいるのは全員同じ学部で、同じ学年なんだから仲良くしましょ!」

と言った。

正直こういうタイプは苦手だ。ん?ってか、そうなの?

「まずはなにを食べるか決たほうがいい?」

と、僕に聞いてくる。

「あ、はい。それでいいと思います。」

と返事をした。園崎のやつ。同学年で学部まで同じなんならゆっておいてくれよ。と思いながら一人一人に配られたメニューを見ながら、注文を決めた。

全員すぐに注文が決まり定員を呼んで注文をする。僕と僕の前にいる女性はナポリタンを、園崎と鷹山 紗良はスープスパゲッティーを注文した。

一応、自己紹介しようか。と園崎が提案し、自己紹介が始まった。

「僕は園崎 武と言います。趣味はスポーツをすることです。」

彼は手短に自己紹介を終えたあと、僕に視線を向けた。

「僕は遠山 航といいます。趣味は、読書です。」

と僕も軽く自己紹介をした。すると次は、鷹山 紗良が、

「私は鷹山 紗良っていいます。趣味は、そうだなぁ。えーっと。」

と腕を組んで考えている。よくみると、腰までのびている茶髪には艶があり、誰でも美人だと認めるだろうと思わせるほど端正な顔立ちをしている女性だった。

すぐに答えが出たらしく、

「そうそう、趣味はショッピングかな!じゃあ、最後は希だよ。」と、隣の女性に話しかけた。隣の女性はずっと下を向いて緊張しているようだったが、友達の笑顔を見ると緊張がほぐれたのか頷いた。

「私は沙田 希っていいます。趣味は遠山さんと同じ読書です。」

と恥ずかしそうに自己紹介をした。

そのときの彼女の第一印象は、正直とても好印象だった。黒髪でショートというのは僕の好みの髪型だし、何より恥ずかしがっているのがとても可愛らしかった。

彼女に見とれていると、

「さて、自己紹介も終わったことだし、料理を食べながら雑談でもしましょう。」

と遠山 紗良が目を輝かせながら言った。丁度料理が来たようだ。

僕は運ばれてきたナポリタンを、フォークで絡めながら、

「で、園崎と鷹山さんが友達だったんだよな?」

と園崎の方を向いて聞くと、

「えぇ。でも、まだ友達になって一週間ぐらいだし、ほとんどメールで話しただけで、まだ、今日で会うのが二回目なんだけどね。」

と園崎ではなく鷹山 紗良が答えた。そして、

「ねぇ、また四人で遊びにいこうよ!」といいだした。唐突だなと僕が思うと同時に、園崎が「いいですね!」と返事をした。その後はほとんど園崎と鷹山さんが話をしていて、僕と沙田さんはほとんど頷くぐらいだった。

まぁ、いいか。と思いながら、また一口ナポリタンを頬張った。

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