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人狼と少女  作者: 悪死姫
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満月と人狼

丘の上の桜の木の上に腰掛ける。

あの日以来、あの少年の事が脳裏に浮かぶ。

自分自身でも気づいて来た、恋に落ちてしまった。と

「銀は何処にいるのだろう。会いたいな。」

集落にしか喋る人は居ないから。外の世界で喋れる人は銀だけ。

切ないと言う感情が通り過ぎる。

もう、3日も会ってない。

(不思議な少年だなぁ。)


「ん…あれ?このパーカーは誰の?」

『あ!起きたね燐。』

え?銀だよね。

夢じゃ無ないよね?

「銀…?」

『うん、銀だよ。風邪引くよ?』

パーカーを銀に返す。

温かくて寝てしまったんだな。

たまたまかな?会えたのは。

『燐、明日満月だよね?』

「…満月だと思うよ。どうしたの?」

『嫌ぁ、なんとなくな。燐は人狼を信じてる?』

人狼の話?銀の住んでる所でも迷信があるのかな?

「信じてないよ。もし、居たら殺されてるよ?」

『人狼って満月になるらしいじゃん。明日の夜此処に来て?』

なんでだろう?もし、銀が人狼なら私は死んでいる。

でも、生きてる。

「いいよ!」

胸が熱い。

これが恋なのかな?

一目惚れだけど。

その日は帰った。


『燐ちゃん、顔が赤いわよ?熱があるんじゃ…。』

「大丈夫ですよ!」

無理に笑顔を作る。

銀に出会ったあの日から私の心は恋に溺れていた。

愛を知らないで育ったからかな?

『そう。もし具合が悪かったら家においで。ところで、最近毎日出かけているわね。』

「春が好きだから…桜みたいに自由になって見たいの。」

桜は自由だよ。知らない何処かに舞い落ちる。桜吹雪だよ。

『春は出会いと別れの季節。まるで人みたいね。家に帰りな。』

「はい。」

自分の家に帰る。

心が締め付けられる。

あの、銀が人狼ならすべてを受け入れてあげたい。

心に覚悟を決めた。


今日は満月。

「よし。」

深夜、集落を出た。

あの桜の満開の丘に行く。

丘の上に銀髪をなびかせている銀が見えた。

「遅れてゴメンナサイ。銀。」

『いいよ。燐、怯えないで聞いてくれるか?』

「いいよ…。」

私は覚悟を決めたから。

どんな事でも受け入れるよ。死でも。

『燐と初めて出会ったあの日、燐の右目を見て思い出した。俺は人狼だと言う事を…。燐、今日は満月だ。右目を出してくれるか?』

「うん…。」

前髪から右目を出した。

赤い目が見える。

『怖がるな。』

銀を見つめる。

体が狼に変わってゆく。

右目がやけに痛い。どうして…?

『燐の右目は人狼の力を呼び覚ます力があるんだ。集落の人は知っていたんだろう。』

狼が囁く。でも、それは銀。

怖いとは思わないから。


『俺が怖い?」

と聞いてくる。

「怖くないよ。銀だから…。」

『でも、震えてる。怖いんだろ?もう、会わないようにするか?』

嫌だ。それだけは嫌だ!

「ずっと傍に居て欲しい…銀の事が好きだから…」

私の体に銀が触れる。

今の銀は人の姿をしている。

『俺が好きか…。俺も好きだ。』

その日、私は初めての夜を迎えた。

怖くはないよ。だって、好きだから。

人と人狼は結ばれていいのかな?


初めての夜を迎えた次の日の朝。

「銀の傍にいたいな。」

『俺もだ。燐好きだ。』

抱きしめられる。昨日の夜が嘘見たい。

「私、もう集落に帰らないと。皆が心配してると思うから。」

そう言い、銀の住んでいる小屋を出た。

『またな。』

山を降りる。

許して、集落の皆さん。

人狼の力を呼び覚ましてしまいました。

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