発明品
こんこん
「開いているから入ってきたまえ」
私は挨拶をするのも、もどかしく急いで部屋の中に入る。
ここは私と彼の発明室だ。まあ私は資金援助で彼が発明しているのだが。今日はそんな彼からしばらく前から作っていたものがとうとう完成したという報せがあったので急いできたのだ。
「あれが完成したというのは本当かね?」
「もちろん。まあこれを見てくれたまえ」
彼がそう言いながら指で指した先にはまな板と包丁そして野菜や肉ほかにもいろいろなものが置いてあった。どうやら分かりやすく実演してくれるらしい。
「見ていたまえ」
彼はそう言うとまな板の上にピーマンを乗せた。そして包丁で切る。次はキャベツを切った。
「まずは野菜は簡単に切れる。次は肉だ」
今度は一キロくらいありそうな肉をまな板の上に置きまたしても包丁で切れる。包丁は野菜のときと同じようになんの抵抗も見せずに肉を両断した。
「肉もこのとおり。お次は鉄」
そう言うと今度は中身まで詰まっている鉄パイプをまな板に乗せた。そしてそれを包丁で切る。鉄はまるで豆腐のように簡単に切れる。
「そしていよいよこれだ」
彼がそう言ってまな板の上に乗せたのはダイヤモンド。
「いくよ」
彼はそのまま何の気負いもせずに包丁をダイヤモンドに降ろす。するとダイヤモンドは綺麗に半分に切れた。断面も驚くほど滑らかだ。
「ふむ。すさまじい切れ味だな」
「そうだろう。そしていよいよ次が最後だ」
彼はそういうとまな板になにも乗せずに包丁を振り下ろした。
カキン!!
まな板を切ろうとした包丁はまな板に傷一つ付けられず跳ね返された。一方まな板の方には傷一つない。
「うむ。すばらしい出来だ」
「そうだろう。やっと出来たぞ」
彼らはそこで一拍溜めると、
「「世界一硬いまな板が」」
と言った。
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