不倫
ちょうど日付が変わる頃。あるホテルの一室の中の話である。その部屋のベットの中には一組の男女がいた。二人とも裸で事後のようである。
「ねえあなた奥さんはいるんでしょ」
女が男に聞いた。
「まあね」
「いいの?他の女と寝たりして」
「そういうのはやる前に聞くもんだと思うけど・・・」
「話を逸らさないで」
女が少し怒ったように言う。
「ああ、ごめんごめん。それで妻のことだっけ?別にいいんだよ。もうかなり長い間妻とは会ってないしね」
「別居してるの?」
「違うけど近いかな」
女は少し考えたあと閃いたように言った。
「家庭内別居ってやつ?」
「そう。会わないし会話もしないな」
「寂しくはないの?」
「あんまりかな。君みたいな人がいるから女には飢えてないし」
そう言って男は女の背中をくすぐる。
「もうやめて。そろそろ帰らないと。私もあなたと似たような状況だけど旦那が帰ってきたとき家にいないと言い訳がきかないのよ」
「わかったよ。家まで送ってくよ。タクシーだけど」
「ありがとう」
二人はキスをするとベットを出て服を着始めた。
「今日はありがとうね。久しぶりに楽しかったわ」
「いやいいよ。僕も楽しませてもらったし」
「みんなに言ってるんでしょどうせ」
「まあそう言わないで」
「あ、運転手さんそこのマンションで降ろしてください」
それを聞いた男が驚いたように言った。
「え!?君もここのマンションに住んでるのかい?実は僕もなんだ」
「まあそうなの!?すごい偶然ね」
二人はタクシーを降りるとマンションに向かって歩き始める。
「何階に住んでるんだい?」
「5階よ」
「本当にすごい偶然だね!僕も五階に住んでるんだ」
「まあ!もしかしたら隣の部屋かもしれないわね」
「ホントにそうだね」
二人はエレベーターに乗って5階まで昇った。
そして二人とも同じ方向に歩き始める。そして同じドアの前で立ち止まると、同じ形の鍵を出し同時に鍵を開けようとした。
そして同時に声を上げた。
「「え!?」」
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