一方その頃
感想閲覧お気に入り登録etcありがとうございました。
お気に入り登録人数と評価がコツコツ書いていた作品を一気に追い抜いて嬉しいやらなんやら複雑ですが今後も頑張らせていただきます。
指摘いただいたリナの名前の元ネタに関する情報や大量の誤字は順次直させていただきます。
御坂トオルことスルトが異世界で女神といちゃいちゃしていたその頃、地球に戻った十一人は好き勝手な生活を送っていた。
十一人はあの空間で起こったことを覚えていたが、誰かに話すつもりはなく、また互いにそのことを誓い合っていた。
もっとも他人に話せないように細工が施されている上に、何かの手違いで話せても誰も信じることはないだろう。
まず真っ先に地球への帰還を祈った女性、三原優子。
彼女は地球に帰還してすぐに大学を辞めた。
そして、神に願ったピアノの才能と人気になりたいという願い、人から好かれたいという願い、人生の苦難をなくすという願いを信じてある行動を起こした。
神に願った大量の金を使い、あらゆる手段を使って有名な音楽家のもとに弟子入りを果たした。
最初、音楽家は彼女を金だけ持っている小娘と評価していたがそれはレッスンを始めてすぐに覆された。
弟子入りしてひと月で彼女は師匠となった音楽家を追い抜いてしまった。
さらに、苦難をなくす願いが叶ったのか偶然テレビで取り上げられて一躍有名人となった。
問題はそのあとだった。
自分の才能、自分の美貌、自分の財産、自分の魅力、それらが神の力で保障されているからであろうか、傲慢な言動が目立つようになっていった。
まだ髪に出会う前の三原優子は人当たりが良いことで人気だった。
それが地球に帰還して数ヶ月で人が変わってしまった。
普段は清楚で可憐を装い、プライベートでは金を積み上げ遊び歩く生活を繰り返した。
この時彼女はひとつ失念していた。
彼女が願ったのは人生の苦難をなくすこと、それは生きている間は一切苦労しないということである。
それを忘れてか知らずか彼女は金と魅力に物を言わせて危ない遊びもしてきた。
人気を得る才能も好かれる才能も持ち合わせている彼女が、人から嫌われない才能や人から恨まれない才能を持ち合わせていない彼女が、寝取った男の恋人に、襲われないはずがなかった。
三原優子は地球に帰還後ひと月で音楽界にその名を知らしめた。
帰還からふた月たってお茶の間で人気の音楽家となった。
三月たって自分に溺れた。
四ヶ月を待たずして、自分の血に溺れることになった。
小学生時代の性欲の暴走を暴かれた男、佐山ヒトシ。
彼が神に願ったものは力だった。
PK‐ST、超能力における静止した物体に影響を与える能力。
ESP、透視や予知の能力。
五メートルの高さを軽々と飛び越え、五十メートルを四秒で走り抜ける脚力。
42,195キロをノンストップで走り続けられる持久力。
異性を惹きつける魅力。
彼はこの五つを願い、手に入れた。
彼がまず初めにしたのは自分の住んでいるアパートの隣の部屋を覗くことだった。
家賃60000円ユニットバス有り1kのアパート、彼の隣の部屋には二十五歳になるOLが住んでいる。
その容姿は二十代とは思えない、十代にしか見えない幼い面構え、背丈も低く百八十センチの佐山ヒトシと比べると頭三つ分程違う。
そんな彼女に佐山は恋心を抱いていた。
彼は一日中ひきこもってOLの部屋を覗き続けた。
新食を忘れ、OLの生活を、彼女の部屋を、モノの配置を、生活習慣をすべて記憶した。
そしてひと月が立ちOLの調査が終わった彼は、今度は近隣の住民の生活を調べた。
食料は全て通信販売で購入した。
それらをPKで操作して調理、排泄も全てその場ですませPKを使ってトイレまで運んだ。
佐山ヒトシは食料の受け取り時意外では部屋から一歩も出ることなく生活していた。
OLの私生活を覗き見しつつ近隣住民の調査を進めてふた月が過ぎた。
佐山は近隣住民のスケジュールを全て把握した。
こうして準備が整った。
火曜日午前十時二十分、OLは三時間前に会社へ向かった。
近隣住民はこの時間スーパーの特売か仕事、学校と予定がある。
あたりを見渡してもベランダで洗濯物を干している主婦は一人も見当たらない。
彼はPkでOLの部屋の鍵を開けた。
部屋に入って洗濯物を探し出す。
物の配置を覚えていた為にすぐに目当てのものは見つかった。
いうまでもなくOLが先日身につけていた下着だ。
佐山は素早く上下ひと組をポケットにねじ込んだ。
次に洗面所に行き歯ブラシを自分が使っていたものと交換した。
色形メーカー毛の柔らかさすべてを調べ抜き、使い古したように見せるため佐山が毎日使い続けていたものと交換したため、OLにその違いはわからないだろう。
箸も同様に用意していたものと交換した。
風呂場ではシャンプーリンスボディソープに自分の子種を混ぜ込んだ。
トイレに行き使用済み生理用品も採取した。
その後誰にも見られていないことを確認して彼は部屋を後に、鍵も閉めて出た。
彼は満足していた。
自分の欲望を余すことなくみたせて、想い人を自分だけが汚すことができたと感じて、自分のすべてを押し付けることができて。
それからの彼は文字通り、寝食を忘れて彼女を見守り続けた。
水を飲むためにPkを使うことも惜しんで彼女を見続けた。
そのうち目がかすむようになったが片目を瞑り、もう片方の目では彼女を見る、それを交互に繰り返していた。
そのうち彼は自分の体が動かないことに気づいた。
気にするまでもなかった。
そんなことはどうでもいい、今は彼女を見ることに専念したい、そう思っていた彼は、壁越しに彼女を見つめながら息絶えた。
地球に戻って三月と十日経ってからのことだった。
余談ではあるが彼の遺体を最初に発見したのは隣の部屋のOLだった。
佐山ヒトシが息絶えておよそ三ヶ月が過ぎてからのことだった。
異臭と最近増えた蠅、蛆に嫌気がさして大家に相談、しばらく佐山の姿を見ていないという話に至り彼の部屋の鍵を開け、糞尿にまみれ壁を見つめながら蛆と蠅に食われている佐山を、彼女は見てしまった。
警察の調べでは食料があったのにってをつけていないことから自殺ではないかと言われた、それと同時に彼がOLの下着を持っていたことを聞かされ、蛆やハエに食われながらもかろうじて無事だったその顔面は幸せそうだったこと、佐山が自分の部屋がある方向を見ていたことなどから気味悪がったOLは所持品をすべて処分して会社の近くへ引っ越していった。
感想の返信にも書いた地球に戻った方々が起こした問題集です。
三原女子は自分の才能に溺れて腹切られ、佐山は……自分で書いていて気持ち悪くなりましたがこう言う感じです。
残り九人は今後またキリが良いところで書きます。
全員が全員悲惨な運命をたどるのか、それとも幸せを掴めととどろき叫ぶ人がいるのかは読んでからのお楽しみです。
普段から一人称作品ばかり書いていたので三人称視点は不馴れですがその辺はご容赦ください。
今後とも宜しくお願いします。