悪魔も忙しい
「質問には一つずつ答えます。
まず、ロキシー私はマゾヒストではないわよ、知ってるでしょう? 」
それは俺も身をもってよく知っている、この世界に来たばかりの頃の俺ならそう言っていたかもしれない。
でも今ならわかる、リナはサディストの皮をかぶった……いや本人はサディストのつもりはないと思うけど、マゾヒストの才能も秘めている。
流石に抱きついただけで腹かっさばかれたときは恐ろしい子と思ったけど、今になって思い返すとあれは照れ隠しだったんだろうな。
それにリナ、俺とあって食事や睡眠の楽しさを知ったって言ってたから恋愛なんてしたこともなかったろうに。
それゆえか、俺にどう接していいかわからなかったんだろう。
最初に夫婦関係のふりと言い出したのはリナだし、恋愛で自分がこんなに変わるなんて思ってもいなかったんだろうな。
まぁ……最近は慣れてきたのかほっぺ引っ張る程度になってきてるし、寝起きの時とかは俺がいじって遊ばせてもらってるけど。
遊ばせてもらってる時のリナがもう可愛くてなぁ、ほっぺぷにぷにとかしていると気持ちよさそうな顔してさ、たまに唸ったりして、それで急にやめると寂しそうにして、絶対マゾヒストの素質あるよ。
「次にスルト、その……まだ……正式にはというだけで……その……」
なにこの娘可愛すぎる。
普段から可愛かったけどこれは反則だろ。
普段は凛々しい女性という感じなのに今は見た目相応の(仮面も外してフードもとっている)可愛らしい女の子!
ギャップ萌えというやつか……。
「リナ! 」
「ひゃい! 」
あ、噛んだ。
これまた超可愛い。
「ならば正式に、結婚しよう!
式を挙げよう! 愛してる! お前が欲しいぃぃぃぃぃぃ!」
「いや、どこぞのハートのキングの称号引き継いだ人じゃないんだからさ。
それともスライム連鎖の闇魔道士? 」
ロキシーさんとやら、今は俺の一世一代の告白の最中だ。
野暮なツッコミはやめてもらいたい。
ついでに今目の前でゆでダコ状態のリナを脳内画像フォルダに保存する作業で忙しい。
顔全体真っ赤にしちゃって可愛すぎて・・・・・・あ、でも何か自分のセリフ思い出したら俺まで顔が熱く……。
「あぁはいはい、もう見せつけてくれちゃって。
わかったわかった、お邪魔虫は退散するよ。
あとは若いモン二人でどうぞってやつだね。
明日の同じ時間にもっかい来るからツルギのことはその時にね」
そう言ってロキシーはゆでダコになった俺達を放置してさっそうと消えてしまった。
いや、若いモン同士ってお見合いじゃないんだからさ……。
プロポーズシーンですよ、ただの。
別名、スルトの公開処刑とも言う。
「ス、スルト! 」
「ひゃい! 」
あ、俺もかんだ。
「あ、あの、使い魔の私でよければ……その、お願いしまひゅ! 」
リナまたかんだ。
そういえばリナに抱きつこうとしたり抱きついたりはしたけど……好きだと言葉にして意思表示したのは初めてだったか。
なるほど、そのせいでいつも以上に焦っているんだな。
「……リナ、俺がこの世界の神となったら、結婚しよう」
「いや……あの今私結婚OKしたはずなんだけどなぜフラグ立てたのよ」
「この戦いが終わったら俺……結婚するんだ」
「重ねがけはやめなさい、神でも死ぬから」
「ちょっと田んぼの様子を見てくる! 」
「それもはや関係ないわよ」
リナの視線が氷点下までさがる。
いわゆるジト目、ゾクゾク美!
「はぁ、プロポーズの恥ずかしさに耐えられなかったのはわかるけれど……最後までキリッっとしててくれればよかったんだけどね。
そこも含めてってことかしらね」
あ、やっぱりバレていた。
恥ずかしすぎておちゃらけてごまかそうとしたけど、バレてるとなるとより一層恥ずかしいねこれ。
「式はどうするかとかは後でゆっくり決めましょう。
今はこの山の、そうね主あたりでも狩ってギルドに戻りましょう」
「そ、そうだな」
リナは顔以外は平静を取り戻したみたいだけど、俺はまだまだ乱れています。
……もういま魔法使ったら間違って山もろとも吹き飛ばしそうな勢い。
近接戦闘だけで頑張るべきだよな。
プロポーズ早々呆れられないようにも!
あ、あれぇ?
今回はロキシーによるツルギ奪還を書いていくはずだったんだけど……どうしてこうなった?
ま、まぁというわけですると君はめでたくリア充に、爆発しろ。
リナさんは既婚者一歩手前となりました。
まぁつまり、婚約者持ちとでも言うんですかね。
こいつらカップルという過程すっとばしやがった。
しかもあって一年足らず、神様のスピード婚。




