山岳戦が好きだ
ギルドをでて二時間。
街を出て一時間。
山に転移して四十分。
未だ動物の姿を見ていません。
「変だな」
俺たちが生活していた森、あそこならば四十分も歩いていれば動物の一匹くらいには出くわす。
その時気配というか実力というか、とにかくそういうものを隠していれば襲ってくる者もいる。
さすがにこの山が、あの『地獄』と名実ともに評される森ほど危険だとは思えないし、動物や魔獣(魔法を使う動物の総称、魔族とは関係ない)、魔人(ゴブリンなど人型に近い魔獣の総称、地域によっては魔族扱いだったり魔族を魔人と呼んだりもする)が強いとも思えない。
流石にこんなところで推定体重五百キロ越えの熊に出くわすことは無いだろう。
「別に何も変ではないと思うけれど?」
いろいろ考えていたけれどリナの発言が気になった。
なんでこの状況が変と思わないんだろうか。
動物だけならそういうこともありえるけど、鳥すら見かけないのはどう考えてもおかしい。
「動物が姿を隠しているのは、実力を隠そうともしない阿呆がいるからよ」
「……そんなのいるの? 」
「なんで気づかないの? 」
そう言われて気配を探ってみる。
が、探ろうとした瞬間ある一点から発せられている気配が強すぎて他の者の気配が一切分からなかった。
その気配はリリカさえ凌駕している。
元魔王の身でリナの血を飲んだ、レイスやツルギ達とは下地から違う最強の生物。
下手したら拳一つで地震を止められる、そんな最強生物のリリカよりも上。
つまり、わけのわからない存在が居る。
「誰だ……」
「…………そろそろいいんじゃないかしら?
ロキシー、出てきなさい」
リナが忌々しげというか苦々しくというか、そう言葉を発した瞬間。
俺たちの背後に強大な気配が転移した。
「おいっすー」
「おいっすーどうだった? 」
呆然とする俺をよそに軽い挨拶を交わして何かを話し始めるリナ。
そして、コウモリのような羽とこめかみから渦巻くようにして伸びている角、馬の尻尾と形容される髪型、漆黒の黒髪、低い身長、控えめというかもはや主張を諦めた胸、整っているが身長や胸のサイズから可愛らしいという表現がふさわしい顔つき、短パンから除く生脚太ももが眩しいです。
そんな美少女がそこに立っていた。
「あらスルト、妻を差し置いてこんなロリに見とれるとはいいご身分ね」
「すまん」
素直に謝る。
今回は全面的に俺が悪い。
でも誰だ? このロリ美少女。
「紹介するわ、彼女はロキシー。
ロズアリアに捉えられたツルギの開放をお願いした相手よ」
ツルギか……確か俺が目を覚ましてすぐにそんなこと言ってたっけか。
それの開放ね……こんなロリっ子で大丈夫だったのか?
なんか漫画とかだとマニアに売られそうなキャラの気がするんだが。
「言いたいことはわかるけど動いてくれるのがこの娘くらいしかいなかったのよ……あのニートどもそのうちまとめて排除してやる」
ニートども、というのは最高神のことだろう。
となるとこの娘も最高神?
「ロキシーだっけ?
最高神なの? 」
「僕は最高神じゃないよ。
強いて言うなら最上位悪魔? 」
なぜに疑問系。
それに悪魔って……いいのか? こんなところで神様と談笑してて。
神話とかだと対立しているはずなのに。
「前に言わなかったかしら?
神と悪魔なんてコインの裏表、二対一体よ。
わかりやすく言うなら神様が暴れたり人間を誘惑する姿が悪魔、助けたりする姿が神様といったところ。
普通悪魔のが仕事が多くなるからみんな神様の姿をとっているのだけれど、ロキシーは変わりものでね」
「だって悪魔のが自由なんだもん」
そう言って胸を張ったロキシー。
しかし残念、彼女の胸は反り上がれば反り上がるほど平らなことを主張していた。
しかしそれもまた一興、リナの慎ましやかな胸が一番好きだがこういうのも悪くはない。
「それで、どうだった? 」
「あぁあれね、結論から話すと納得してもらったよ。
富と名声をあげるよって言ったらころりとね」
「悪魔らしいやり方ね」
いまいち話についていけない。
けどたぶんツルギを開放したら富と名声を上げるという話に持ち込んだんだろう。
本当に悪魔らしい。
「魂は?」
「それは死後の話。
あぁいう悪人の魂は見ていて楽しいからね、ぐへへ」
ロキシーが黒い笑みを浮かべる。
「それより、この人は?
さっき妻がどうたらとか言ってたけど」
「あぁ、行ってなかったわね。
コイツはスルト、私の主にして旦那予定よ」
その言葉にロキシーが目を見開いた。
多分俺も見開いている。
今の発言なにかおかしかったきがする。
「予定ってなんだ!もう夫婦だろう!」
「主って何!? あなたってマゾだったの!? 」
あれ? なんか驚くところが違ってる?
体重五百キロの熊(・(ェ)・)
三毛別の時のくまが三百八十キロくらいだったそうです




