選ばれし?子供達
えー街について、門番洗脳して、子供たちがいるという家に到着した瞬間子供五人に土下座されました。
何を言っているかわからないと思うが俺もわからない、具体的にはどういう状況なのかわからない。
「私たちをレイスと一緒に連れて行ってください!」
レイスというのはあの時助けた子供だっけか……街をぶっ壊す前だか後だかににリナが言っていたきがする。
それで、この子供たちはレイスと一緒に行きたいと言っているのか。
五人の子供の顔を見てみたが肝心のレイス君は見当たらないし……何がどうなっているやら。
「とりあえず落ち着け、そのことについての説明も兼ねてここに来ているんだ」
レイスを連れて行くということ、一緒に来る場合と来なかった場合についてのこと。
またレイスがこういう状況になった理由やこれから俺たちがどうしようか考えていること。
それらのことをすべて洗いざらい話した。
その時、少し話を聞いて分かったことだけど、レイスはストリートチルドレンのリーダーで、仲間は三十人ほどだったそうだ。
それはこの街のストリートチルドレンの大半で、大人から目をつけられないように犯罪はせず小遣い程度の金額をもらって仕事の手伝いとかをしていたそうだ。
そんなある日最年少のケイタが病気になってその薬を買う必要があった。
けどその金額を貯めるとなると何日も飲まず食わずで働かなきゃいけなくなるところだったそうだ。
そこでレイスが盗品売買を決意、でも失敗して俺に助けられた。
そのあとだがケイタはリナの部下の人が助けてくれたらしい。
ただし、リーダーだったレイスが自ら禁を破って犯罪に手を染めたことで何人かの子供、特にレイスに年齢が近い者達はグループを抜けてレイスには従わなくなった。
そうしているうちに何人かは俺の攻撃に巻き込まれ、残りは街の復興をしている間も窃盗を繰り返し捕まって奴隷、もしくは打首となったそうだ。
またグループを抜けながらも犯罪には決して手を染めなかった一部の子供たちはその働きが評価されて大人が数人身元引受人として名乗り出てくれて今は幸せに暮らしているそうだ。
ここに残った五人はレイスに最後まで付き従うと決めたらしい。
そして、死んでいない、奴隷にされていない、身元引受人もいない、レイスにもついてこない、という子供は三人いたがこの子供たちはリナの部下が何とかしてくれるとのことだ。
ついでに、ここに居る五人とこないと決めた三人は俺の血を飲んだ代償などもだいたい聞いているらしい。
リナをちらりと見るとニヤニヤと笑っていた。
なんというか……いいことがあってそれが表情にまで出てしまったかのような、そんな感じの笑い方。
「嬉しそうだなリナ」
「えぇ、この街は邪気まみれでダメだと思っていたけど、こんないい子や決して犯罪をよしとしなかった子供、それを認める大人もいるんだなと思ったのよ。
大人たちも今ちょっと調べたけれど虐待とか厄介と思っているなんてことはないみたいだしねえ」
「なるほどねぇ……まぁいいや。
それで、肝心のレイスはどうした?」
今いる家は森の家と同じようにリビングキッチン寝室が一体になっているものでほかに部屋などは見当たらない。
そしてレイスが帰ってくる様子もない。
「あぁ、話の邪魔になるから部下に頼んで森に送ったわ。説明もしっかりしてあるし」
説明してあるんだ……肉体言語じゃないことを祈るばかりだ。
「なら、早速血を飲んでもらって森に帰るとするかな」
ポケットに入れていたナイフで指先を少し切る。
それを見て子供たちがびくりと震えたけど、最初に連れて行ってくれと言った女の子がその血を舐めとった。
それに続いて男の子二人と女の子二人も俺の指に舌を這わせた。
ちょっと変な気分になったのは内緒。
結局、その後子供たちは知識が流れ込んだことや肉体が微妙に変化したことで気を失ってしまったので転移で森に帰ることにした。
この時、ここに残ると決めた三人の記憶から神の血を飲むという行為に関する記憶、住民全員から俺とリナに関する記憶をすべて消しておいたのは余談。




