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残酷な神様の鉄槌

人造人間に乗り込んで、まず穴から這い出た。

この穴は最初に毛皮とかを放り込んだもので、この巨大人造人間(天使っぽい羽根と輪っかつき)を隠す目的と、骨格と装甲を作る材料用の土のために使ったものだ。

さすがにこれだけの巨体だと隠すために相当深く掘る必要があったけど難なく這い出ることができた。


「初号機発進!」


これくらいは行っておかないと締まらない、なんとなくそんな気がした。

ともかく目標は目と鼻の先、さっさとやってしまおう、俺の覚悟がぶれないうちに。


穴から這い出てすぐに武器を掴む、これは余った土で作ったものだが銃のような細かいものは作れなかったのでナイフで我慢、それでもなかなかいいものができたとは思う。

そのナイフを握りしめたまま街までの数キロを一足飛びで進み、リナと一緒に取り調べを受けた門にナイフを突き立てた。

見張りが二名、ナイフを突き刺した衝撃で吹き飛んだのがチラリと見えた。

瓦礫や土砂も一緒に吹き飛んでいたことから確実に死んだと思う。

また街の門だ、兵士二人だけしか犠牲者がいないなんてことは考えられない。

近くにいたと思われる人々、老若男女問わず、がれきに混ざって散乱している。


いい気分ではない、なのに不快でもない、今俺がしているのはあの兵士たちが子供にしていたことと同じ、いやそれ以上のはずだ。

それなのに何も感じない。

そのことに対して気分が悪くなってきた。


「クソがっ!」


八つ当たり気味に手に持たせていたナイフを投げる。

目標は街の中心にある豪邸、そのナイフはまっすぐ豪邸に向かって飛んで行き、一瞬でそれを瓦解させた。

またそのナイフが飛んだ時音速を超えたのだろうか、ソニックブームなのかもんから豪邸までの建物が崩れ道が出来てしまった。

それと同時に空高く放り上げられる人々の姿も、人造人間を通した俺の目にはくっきりと見えてしまた。


「胸糞悪い!」


再び八つ当たり気味に右腕を降る、それによって数メートルが瓦礫の山となった。

この時も、俺の行動で死んでいく人々の姿がはっきりと、人造人間を通した俺の目に映った。

ある人は空高く放り上げられ落下して潰れ、ある人は降った人造人間の腕に当たり、ある人は瓦礫に押しつぶされる。

地獄のような光景が余すことなく俺の目には映し出され、記憶されている。

それなのに何も感じない、そのことが嫌で嫌で仕方がない。


「早く……終わらせよう」


リナが待っている宿に向かって数歩進む、たったそれだけで手が届いてしまった。

そのまま宿を基盤ごと引き抜き、まるでりんごでもかじるかのように食った。

リナも、中にいた人間も構わずに。


「あぁ……本当に何にも感じない」


完全に無感情のまま行動している。

嫌だと言っていながら内心は落ち着いたもの、なんだかんだといっても精神的には平静そのものだ。


「早く来いよ英雄……」


未旅、八つ当たりをする。

宿の近くにあった建物をボールに見立てて蹴り飛ばした。

吹き飛ぶかと思ったが建物がバラバラになっただけだった。

そんなバラバラになった建物も小さな人間からしたら十分な狂気となった。

それはまるで散弾で、何人もの人が体に穴を開け、潰れ、死んでいくのをまた記憶してしまった。


それからは英雄、俺とリナとリナの部下が作ったあの男。

あいつが現れることを祈ってひたすら街を壊して回った。

途中四方八方から魔術や矢、武器を構えた人々が飛んできた。

しかし、全くダメージにならない。

それどころか一歩歩くだけで武器を構えてた人々も、矢を射った人々も、魔法を放った人々も等しく死んでしまい、またその光景を記憶した。


それからどれほど街を破壊しただろうか。

もしかしたら数分足らずだったかもしれない。

唐突に、右肩に激痛が走った。

操縦席の中で自分の右腕を見るがなんの代わり映えもしない。

しかし、人造人間の目を通して見た光景は違っていた。

本来必要なかったが水魔法で循環させていた擬似体液を漏らす傷口がそこにはあった。

それまでそこに鎮座していた右腕が消えている代わりに真新しい傷口が。


「あぁ、ようやく来てくれた」


遅めの英雄の登場を、肌で感じた

これでもう殺さないで済む……。

身勝手だが俺はたしかにそう考えていた。


傷口に集中していたため英雄がどこにいるかはわからなかった。

けれども体のあちらこちらに走る激痛、時折放たれる魔法魔術によって崩れる姿勢、それらからあの英雄が俺を、人造人間を攻撃しているということだけは理解できた。

その激痛は俺の意識を、人造人間の肉体と同時に削っていった。

その痛みは、英雄の攻撃は人造人間の背中からウナジまでを切り裂かれ、首を落とされると同時に終わった。

それと同時に俺の意識も途切れた。

最後に、光を見た気がした。

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