お買い物&秘密の作戦
〈sideスルト〉
あれからすぐに地球に来た俺はデパートの地下で食料品をあさっていた。
「えーと……千切りキャベツにヒレカツ、おにぎりにパンに冷凍食品類もろもろ……こんなもんか」
数日ぶりに地球でショッピング、やはり故郷はいい……とは思えないわ。
ぶっちゃけあっちの世界と比べて地球は空気が臭い。
排ガスの臭いとか化粧の匂いとか、あと日本は漬物の匂いがするって聞いたことあるけどなんとなく理解したわ。
ついでにいえば騒音もきついし何より今の俺の容姿がかなり目立つ。
リナがイケメンにしてくれたのはいいんだが……日本で日本人らしからぬ端麗な容姿ってのはむちゃくちゃ人目を引くもんだ。
いまいるデパートに着くまでに五回、女性にお茶に誘われて二回職質受け、三回いちゃもんつけられた。
逆ナンは嬉しかったけどリナの怒りに満ちた表情が頭をよぎったんで妻がいるといって丁重にお断りさせてもらった。
職質といちゃもんに関してはもうなにも言うまい、君日本人?モデルでもやってるの?お兄さんお金ちょーだいよー、いってぇ骨折れたetcとなんとも前時代的な不良と警察……俺なんかより取り締まる相手がいるだろうに。
まぁ洗脳というチート技を使ったけど。
正確には暗示、俺の場合まだ洗脳するほどうまく力を使いこなせていないから。
ともかく日本は今の俺には生きにくい場所になっちゃったわけだ、さみしい。
「あとは日持ちする食料やら調味料やらだな……あぁ子供服忘れないようにしないと。何言われるかわかったもんじゃない」
そういえばあの子供の身長はどのくらいだったか……。
〈sideリナ〉
スルトめ……女の子に逆ナンされたくらいで鼻の下伸ばしおってからに……帰ったらお仕置きだ……。
そのためにもこの状況を何とかしないとね……。
まずはこの兵士の肉体改造ね、できるだけ英雄らしい見た目に改造しなくちゃ。
英雄……うーん、どんなのがいいかしら。
攻撃の掛け声は、ぜあっがいいかしら、それともちぇりおーと叫びながら手刀でも打ち込ませようかしら。
まようわね。
迷うと言ったらこの子、どうしましょう。
これから旅をするのに若い夫婦にこんな大きな子供というのも不自然よね……だからと言っておいていくにはこの子は……。
いっそこの子も英雄御一行のパーティーに……だめね、英雄といってもこいつは人形に過ぎないし元とする肉体はこの子本人の仇だものね。
しかたない、本人の意見を尊重するとしましょう。
さて、じゃぁ続きを……なんて名乗らせようかしら……名乗り口上は長すぎず短すぎずで……武器は……あぁもう改造って楽しいわ。




