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休息

あれから俺たちはつまめる物を買い、蘇生待ちとなった兵士と気絶した子供を連れて宿に戻った。

今はその二人が目を覚ますまでの作戦会議を行っている。


「でも天罰を与えるってのはどうにもな……」


作戦会議と言っても俺が一方的にごねている状況だ。

いくら罪悪感を微塵も感じないとはいえ目の前で大量の命が奪われるというのはいい気分ではない。

それが自分の使い魔にして嫁の所業となればなおさらだ。


「じゃあどうするのよ」


そんな俺に対してリナが少々ご立腹。

我ながら女々しいとも平和ボケとも思えるがこればっかりはどうしょうもない。


「ん~……なんにせよ殺すことはないんじゃないか?例えばそうだな……街の中心に巨大な剣が降ってきてそこになんかメッセージを書いておくとか」


「巨大な剣……ね……戦争とか魔族の仕業にされて終わりそうだわ」


「なら……街の中心にいるあくどい奴らを一人ずつ見せしめにボコっていくとか」


「殺したほうが早い上に見せしめになるわ。何より数人やっただけじゃすぐ変えが現れて終りね」


この通り、会議はすっかり迷走してしまっている。

主に俺のせいなんだけどね。


「あ~なんかいい方法は……おもいつかねー」


「皆殺しが一番手っ取り早いとは思うんだけどね……でも確かにいっせいに死んで街が消えても魔族の仕業くらいにしか考えられないか……いいわ、さっきの案を試してみましょ。うまくいけば儲けもの、ダメならボコる形でいきましょう」


「それで構わないならそうしよう、あとはこの子供と兵士が起きるのを待つばかりだ」


ベッドに寝ている子供と地面に転がっている兵士、それぞれが幸せそうな顔で眠っている。

子供が幸せそうなのは和むが中年のおっさんの幸せそうな寝顔というのは……なんとも言い難いものがあるな。


「そういや剣とかはどうやって用意する?」


「神様パワーその17、物質創造でいけると思うわよ。他の世界で使うのはルール違反だけどこの世界は私が作ってあんたが管理する予定の場所だから問題ないわね」


「その17って……適当だろ」


「うん、神様ジョークってやつ」


神様ジョーク、そんなものがあることを今初めて知った上にくだらないが突っ込むのはやめておこう。

何かに負けた気分だ。


「それにしても暇ね……スルト、今のうちに買い出し行ってきてもらえるかしら」


「構わないが……俺もリナも一人になるのは危ないだろ。戦闘的な意味抜きで」


「何もこの街で買い物をしろという話じゃないわ、地球に行って適当な食べ物と日用雑貨、あと子供服を用意してきなさい。戻ってくるときはいつもどおり私の気配を宛にすればいいでしょ」


森にいた頃、地球に買出しに行って戻り方がわからなかった時があった。

その時どうしようか悩んでいたらリナが迎えに来てくれてそれ以来気配の探り方とかを覚えさせられた。

その応用で世界を超えてリナの気配を感じ撮りその座標目指して転移するという帰還方法をとっていた。

ついでに地球に行く際は人が絶対立ち寄らない場所を選んで、さらに気配を消して転移している。

例えば高層ビルの屋上や廃墟、山奥だったり密林だったりと様々な場所を利用している。

最近のお気に入りは富士の樹海だったりする。


ちなみに一回だけ人に見つかりそうになったことがあるけど本気で気配を消したら目の前にいるのに気のせいということにされて助かった。


「地球ね……行ったら色々欲しくなるけどこっちじゃ使い道のないものばっかりだから精神的に何かがすり減るんだよな……」


ゲームとかケータイとかPCとか、とにかくいろいろ欲しくなるがこっちの世界では使えないということを考えると買う気になれない、でも欲しいという無限ループに陥るのは毎度のこと。

それに日用雑貨を買うにしてもプラスチック製とかは目立つから木製か金属製のものばかりになってしまう。

洋服に関しても問題がある。

こっちの世界の服というのは地球のものと大差ないがこちらの物の方がどうしても生地が荒くなる。

それは地球に行った特に目立つし、逆に地球の服を着ていると生地が綺麗すぎて目立ってしまう。

とにかく地球製のものを購入する際は細心の注意が必要となるわけで、楽しいショッピングとは程遠いい。


「私は問題ないんだしここでぼさっとしてても意味ないでしょ。わかったらさっさと行ってきなさい」


うちの嫁は頭に鬼の文字がつくのかもしれません。


「わかったよ、じゃあ行ってきますのチューを」


「し……してあげないわよそんなの!早く行きなさい!」


何それ可愛い、いじめたい衝動がじわじわと湧き上がってくる。

でもこれ以上やると俺の身が危ない……またの機会まで我慢しよう。


「はいはい、行ってきます」

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