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その頃地球

卒論を終え、残すは単位と就活のみとなりました。

ミスは今後順次改修させていただきます。

また更新についてですが、早くもネタに詰まってしまいました……。

正確にはどのルートに進ませるか悩んでいる段階です。

ネタバレにならない範囲で言うなれば他の作者様がたのチート作品同様主人公とヒロインがオラオラする方面か、自分ならこうするという進み方か、もうぶっちゃけて二人でいちゃ凝らしてる作品か、ともかくラストの構成だけは出来ていてそこまでの筋道を悩み中です。


何はともあれ全部の要素が少なからず入ってくると思いますので、問題はどの成分を多めにするかといった感じです。

では、引き続き差し支えなければご愛読お願いします。

女神リナと管理神予定のスルトがベッドの中でイチャイチャしていた頃、佐山ヒトシと三原優子が死んで半月がたった地球では別の機関車が問題を起こしていた。


彼の名前は鈴木洋介、二十二歳を迎えた現在も胸の内でファンタジーに憧れを持っていた。

そんな彼がなぜ女神の頼みを断ったのか、単純にビビってしまったのだ。

いままで夢妄想の世界に存在したファンタジー、それが現実のものとなったら、自分は果たして無事でいられるのだろうか、女神リナを前にしてその思いが膨れ上がり結局地球へ帰還してしまった。

そんな彼が頼んだ願いは以下の通り。


漫画の登場キャラクター並みの身体能力と丈夫な身体。

見聞きしたものを絶対に忘れない記憶能力。

他人に嫌われない事。

莫大な金。

来世を自由に選択できる権利。

これら五つだ。


彼はファンタジーの王道、異世界トリップを目の当たりにして胸の内に秘めた衝動を抑えることができなくなっていた。

命の危険や恐怖とは関わりたくない、だがチート能力を持って無双したい、そんな衝動に彼は踊らされた。


彼の身体能力は恐るべきものだった、天井に固定したボルトを指でつまみ、そのままの姿勢で長編小説を読み終えることは朝飯前、本気で跳ねれば二階建て一軒家を飛び越え、走り幅跳びでは測定不能、短距離走ではスターターを破壊し、鉄棒は懸垂の勢いで破壊、トランプを指でちぎりとるピンチ力、ヤシの実を食いちぎる顎の力。

その力は少年漫画の主人公をも凌駕するものだった。

そんな彼と漫画の主人公たちとの唯一の違いは力加減にあった。

異世界に旅立ったスルトの気にしていたものを、彼は失念していた。


鉄棒を懸垂の勢いだけで破壊できる腕力、スターターを破壊し家を飛び越える脚力、金属すら簡単に握りつぶせる握力、Tボーンステーキを骨ごと食せる顎の力これに耐えられる人間は存在せず、また洋介もその力を抑える手段を知らなかった。


十一人が地球に帰還して半年、事件が起こった。

彼にとって帰還者二人が死亡したのはどうでもいい話だった。

腐敗した佐山の話を聞いた時も、寝取った男の恋人に刺されたという話を聞いた時も、特になにも思わなかった。

だが、もっと身近な人物、自分と一緒に異世界を目の当たりにして、それでもなお帰ってきた恋人、水樹サヤが死亡したとき彼は絶望した。

それも自分の力が原因で、殺してしまったのだからその絶望は計り知れないものとなった。

水樹サヤは優しい女性だった。

願ったのは、洋介の幸せ。

母の病気の完治。

家族に永遠に続く幸運。

不自然でない形で家族にお金が貯まるように。

帰還後自分の女神に関する記憶の削除の五つだった。


彼女は帰還者の中で唯一特別なものを求めなかった。

帰還後は女神の後ろ盾に甘えないよう記憶の削除まで願い、家族の幸せと自分の恋人の幸せを一身に祈っていた。

願いは叶えられ、母の病気は医師も首をかしげる勢いで治ってゆき、会社をクビになっていた父は別の会社にスカウトされ裕福とは言えないが生活するのに困らない程度の給料を得るようになり、貧しかった彼女の家には少しずつではあるが蓄えができ、いじめを受け不登校になっていた弟は家族と友人に支えられ学校に復帰、いじめは周囲の人間によって押さえ込まれ青春を謳歌していた。

洋介も彼女の願いを受けてか不自由もなく幸せな毎日をせうごせていた。

そんなある日、街の外れにある小さなホテルにて彼女を洋介が強く抱きしめた際に事件は起こってしまった。

彼は力加減ができなかった。

その力は彼女の背骨を砕き、内蔵を潰すには十分だった。

洋介は、内蔵を潰され背骨をおられ、長くない命と理解しそれでも笑いながら「大丈夫、ありがとう、ごめんね」と小さく呟いたサヤを抱え警察に出頭した。


彼は裁かれたいと願っていた。

社会的には刑務所に入るという形が取られた。

期間も普通の殺人と同等に時間だった。

彼は上告を続けた。

できるだけ自分の刑期を長引かせるために、かれは裁判にて願い続けた。


そんな彼をマスコミははやし立て、無知な群衆はその態度に彼の罪の意思を深く感じ取り、裁判官は逆にに刑期を短くした。

刑期を全うした彼は最初にサヤの家に行き、家の前で頭を下げた。

さやの家族は洋介を許そうとはしなかったが彼は延々と地面に額を押し付けた。

三日が過ぎ、七日が過ぎ、十日が過ぎた頃、サヤの弟が彼と口をきいた。

「迷惑だ、線香をあげたらさっさと帰れ」サヤの弟はそう告げ、洋介を家に招き入れた。

その後飲まず食わずで十日感土下座を続けた彼はサヤの墓へ向かった。

さやの家族は渋々ではあったが許可を出した。

彼はそこでも十日感土下座を続けた。

彼の強化された身体は二十日間の無飲食に絶えた。

それから彼は経を覚え、祝詞を覚え、あらゆる鎮魂を学び、自らの命尽きるまでそれらを唱え続けた。

サヤの死から二十年、刑期を終えて二年、飲まず食わずで鎮魂を続けた洋介はさやの墓の前で眠るように息を引き取った。


ここからはその後の話、洋介は三途の川原にてサヤと再会した。

サヤは自分が死んでから二十年間悲しみ続け、自分を責め続けた洋介を正座させて説教を始めた。

洋介は二十年ぶりに会ったサヤの変化のなさに想わず吹き出し、サヤもそれに釣られ笑いだした。

それから二人は船頭に導かれながら三途の川をわたり、洋介の最後の願い、来世の選択を行った。


洋介とサヤ、二人が同じ世界で同じ時間に同じように出会い同じように愛し合って、そして互いに幸せになれる、そんな人生を。

えーと、殺人の刑期は十年前後で執行猶予とかついてってのが多いそうです。

ただまぁ上告とか続けて無理やり刑期を伸ばし続けたと考えてください。

法律関係は疎いのですがどうかツッコミはお手柔らかにお願いします。


あと三途の川原という表現を使いましたが正しくは賽の河原ですね。

子供が石を積んで親の供養をし、奪衣婆がここに来た人の服を剥ぎ取り、なんとか翁がその服を木にかけて木のしなり具合でその人の罪を図るという場所です。

確か地蔵菩薩様も賽の河原で子供たちの相手をしているとかいないとか聞いたこともあります。

ともかく今回はあえて賽の河原ではなく三途の川原という表現を用いました。

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