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第14話
「メアリが、泣く、って……?」
「瑞姫は生前、君が例の研究所に関心を抱いていることを知っていた。それが何のためかも、分かっていた。そして、誰にもーー瑞姫自身であろうと、それを止められないであろうことも」
うん。確かにあれを止めるのは、無理だったよね。
「だから瑞姫は、事前に君を説得することは諦めた。そして、君を残して先立つ破目にだけはなるまいと決めていた。だがーーあの事件は起こってしまった」
兄さんの目の前での不慮の死という、最悪の形で、兄さんを置いて逝ってしまった。
「魂が地上に止まれるわずかな期間に、瑞姫は私の元を訪れて、後の事を頼んで行った。だから私はここにこうしているというわけだ」
「……メアリが、何で俺を差し置いて、君のところへ」
兄さん……。今の話で引っ掛かるとこって、そこなんですか。
「瑞姫の魂が君を訪れなかったというわけではない。ただ、魂だけの姿を認識できる体質の人間は多くはない。そういうことだ」
ああっ。遠回しに義姉さんが見えてなかったと言われて、兄さんが地味にダメージを受けている……っ。